「感染症の基本と予防」について学ぼう
感染症は、 介護福祉士国家試験で 問われるテーマです。
病原体の 特徴、 感染経路、 感染を 防ぐ 方法、 介護での 対応 などを確認しましょう。
特に、 次の 内容について 確認しておきましょう。
- 感染が 起こるしくみと、 ウイルス・細菌の 違い
- 病原体が どのようにうつるか
- 標準予防策と、 感染経路に 合わせた 予防
- 手洗い・ 消毒・ 手袋の 使い方
- 主な 感染症の 特徴と、 高齢者で 注意すること
- 毎日の 介護での 予防と、 感染が 疑われるときの 対応
- 感染症法の 分類と、 保健所の 役割
感染症は どのように起こる?
ウイルスや細菌など、 病気の 原因となるものを 病原体 といいます。
病原体が 体に 入り、 体の 中で 増えることを 感染 といいます。
その結果、 熱が 出る、 下痢になるなど、 病気の 症状が 現れることを 発症 といいます。
覚えておこう
感染しても、 症状が 出ないことがあります。
「症状がないから、 感染していない」 とは限りません。
感染が 成立する3つの 要因
感染が 起こるには、 次の3つが 関係します。
① 病原体・ 感染源
病原体は、 感染の 原因となるものです。
その病原体がいる 人や 物などが、 感染源になります。
例
病原体を
含む
便・
嘔吐物・
血液など
② 感染経路
病原体が、 人の 体に 入るまでの 道筋です。
例
病原体が
付いた
手で、
口に
触れる
③ 感受性宿主
その病原体に 感染する 可能性がある 人のことです。
病原体から 体を 守る 力が 弱いと、 感染しやすくなります。
例
病気や
低栄養などで、
抵抗力が
低下している
人
3つの要因に 合わせて 感染を 防ごう
感染を 防ぐには、 次の3つを 組み 合わせます。
① 感染源への 対策
嘔吐物などを 適切に 処理します。
汚れを 取り、 必要な 消毒を 行います。
② 感染経路を 断つ
手洗いや、 場面に 合った 手袋・マスクの 使用などで、 病原体が 広がるのを 防ぎます。
③ 体を 守る 力を 保つ
十分な 栄養や 睡眠をとり、 体調を 整えます。
予防接種も、 感染症への 対策の 一つです。
試験で 覚えるポイント
感染源・ 感染経路・ 感受性宿主 の3つをセットで 覚えましょう。
予防の 方法が 出てきたら、 「感染源への 対策?」 「うつる経路を 断つ?」 「体を 守る 力を 保つ?」 と考えてみましょう。
ウイルスと細菌は 何が 違う?
ウイルスと細菌は、 どちらも感染症の 原因になります。 ただし、 体のしくみや、 増え方が 違います。
増え方と 薬の 違いを 比べよう
ウイルス
人などの 細胞を 利用して 増える
自分だけでは 増えることができません。 生きた 細胞の 中に 入り、 そのしくみを使って 増えます。
代表例
インフルエンザウイルス
ノロウイルス
新型コロナウイルス
薬との 関係
抗菌薬は
効きません。
病気によっては、
抗ウイルス薬を
使います。
細菌
細胞分裂で 増える
1つの細胞からできています。 栄養などの 条件がそろうと、 細胞が 分かれて 増えます。
代表例
結核菌
大腸菌
黄色ブドウ球菌
薬との 関係
治療に
抗菌薬を
使うことがあります。
細菌の
種類などによって、
効く
薬が
違います。
覚えておこう
細胞とは、 体をつくる、 とても小さな 単位です。
抗菌薬は、 細菌を 殺したり、 増えるのを 抑えたりする 薬です。
ウイルス・細菌 以外の 原因もある
真菌
カビなどの仲間です。 細菌とは 別のグループです。
例:
白癬菌
水虫などの
原因になります。
ヒゼンダニ
とても小さなダニです。 人の 皮膚に 寄生します。
疥癬の
原因
になります。
寄生とは、
ほかの生き物の
体にすみついて
生きることです。
試験で 覚えるポイント
ウイルスは細胞を 利用して 増える。 細菌は 細胞分裂で 増える。
抗菌薬は ウイルスには効きません。 疥癬の 原因は、 ヒゼンダニです。
感染が 広がる 経路を 知ろう
感染経路とは、 病原体が 人の 体に 入るまでの 道筋です。 「どううつるか」と 「どう防ぐか」 をセットで 確認しましょう。
① 空気感染
- うつり方
- 空気中をただよう、 病原体を 含む とても小さな 粒子を 吸い込んでうつります。 離れた 場所でもうつることがあります。
- 代表例
- 結核・ 麻しん(はしか)・ 水痘 (水ぼうそう)
- 予防
- 対応する 職員は N95マスクなどを 使います。 換気や 部屋の 調整について、 医療職と 相談します。
② 飛沫感染
- うつり方
- せき・くしゃみ・ 会話などで 飛ぶしぶき (飛沫)に 含まれる 病原体が、 口・ 鼻・ 目などについてうつります。
- 代表例
- インフルエンザなど
- 予防
- サージカルマスクの 着用や、 せきエチケットを 行います。 必要に 応じて 目も 保護します。
③ 接触感染
- うつり方
- 皮膚などに 直接 触れたり、 病原体がついた 手や 物を 通してうつったりします。
- 代表例
- 疥癬・MRSAなど
- 予防
- 手洗いや 手指消毒を 行います。 場面に 合わせて 手袋・ガウンなどを 使い、 よく触れる 場所を 清潔にします。
④ 経口感染
- うつり方
- 病原体がついた 食品・ 水・ 手などを 通して、 病原体が 口から 入って うつります。
- 代表例
- ノロウイルス・ 腸管出血性大腸菌 (O157など)
- 予防
- 石けんと 流水で 手を 洗い、 食品を 適切に 加熱・ 保管します。 便や 嘔吐物も 適切に 処理します。
⑤ 血液を 介する 感染
- うつり方
- 病原体を 含む 血液が、 針刺しや 傷口、 目・ 口などの 粘膜から 体に 入ってうつります。
- 代表例
- B型肝炎・ C型肝炎・ HIV感染症
- 予防
- 血液に 触れるときは 手袋を 使います。 飛び 散るおそれがあれば 目・ 口なども 守り、 針刺しを 防ぎます。
覚えておこう
1つの病気に、 複数の 感染経路が あることもあります。
経口感染は、 接触感染に 含めて 説明することもあります。 ここでは「口から 入る」ことに 注目して 分けています。
新型コロナでは、 飛沫だけでなく、 空気中の 小さな 粒子(エアロゾル)を 吸い込むことでも うつります。 マスクに加え、 換気も 大切です。
試験で 覚えるポイント
空気感染の 代表例は、 結核・ 麻しん・ 水痘です。
病名だけでなく、 「どこから体に 入るか」 「どの対策が 必要か」も 確認しましょう。
標準予防策は、 すべての人に 行う
標準予防策 (スタンダード・プリコーション) は、すべての人に 行う、 基本となる 感染対策です。
感染症と 診断されているかどうかに 関係なく、 毎日の 介護で 行います。
覚えておこう
症状がなくても、 病原体を 持っていることがあります。
「感染症と 診断されていないから、 対策はいらない」 と考えてはいけません。
何に 注意する?
次のものは、 病原体が 含まれている 可能性がある と考えて 扱います。
血液・ 体液・ 分泌物
血液、 唾液(つば)、 痰などです。
汗は 除きます。
排泄物・ 嘔吐物
便、 尿、 吐いたものなどです。
おむつ交換や、 嘔吐物の 処理でも 注意します。
傷のある 皮膚
傷口や、 皮膚が むけているところなどです。
血が 出ていなくても、 注意が 必要です。
粘膜
口や 鼻の 内側などを 覆う、 湿った 膜です。
口腔ケアなどで 触れるときも、 注意します。
「汗を 除く」の 意味
汗だけに 触れることを 理由に、 手袋が 必ず 必要になるわけではありません。
ただし、 利用者に 触れる 前後の 手指衛生 は必要です。 汗に 血液などが 混じっていれば、 その危険に 合わせて 対応します。
場面に 合わせて 防護具を 選ぼう
個人防護具(PPE)とは、 手袋やマスクなど、 病原体から 体や 衣服を 守るために 身につけるものです。
「何に 触れるか」 「どこに飛び 散るか」 を考えて、 必要なものを 組み 合わせます。
① 手に 触れるおそれがある
血液・ 排泄物・ 粘膜・ 傷口などに 触れる 場面です。
使うもの 手袋
② 衣服や 腕につくおそれがある
血液や 排泄物などで、 衣服や 腕が 汚れるおそれのある 場面です。
使うもの
エプロン・長袖ガウンなど
腕まで
守る
必要があるときは、
長袖ガウンを
選びます。
③ 目・ 鼻・ 口に 飛び 散るおそれがある
血液や 体液などのしぶきが、 顔にかかるおそれのある 場面です。
使うもの
サージカルマスク +
ゴーグルまたはフェイスシールド
手袋や
長袖ガウンなども、
必要に
応じて
組み
合わせます。
防護具と 一緒に 行うこと
手指衛生
手洗いや 手指消毒で、 手についた 病原体を 減らします。
手袋を 外した 後も 必要です。
物や 環境を 清潔にする
使った 器具を 洗浄・ 消毒し、 よく触れる 場所を 清掃します。
汚れたリネンやごみも、 病原体を 広げないように 扱います。
試験で 覚えるポイント
標準予防策は、 感染症の 有無に 関係なく、 すべての人に 行います。
ただし、すべての場面で、 すべての防護具を 使うわけではありません。 介護の 内容に 合わせて 選びます。
感染症が 疑われるときなどは、 標準予防策に 感染経路に 合わせた 予防策を 追加 します。
感染経路に 合わせて 予防しよう
感染症が 疑われるときなどは、 標準予防策に、 うつり方に 合わせた 対策を 追加 します。
これを 感染経路別予防策 といいます。
標準予防策
すべての人に 行う 基本の 対策
感染経路別予防策
空気・ 飛沫・ 接触の 経路に 合わせて 追加する 対策
① 空気感染への 対策
代表例: 結核・ 麻しん・ 水痘
職員は N95マスクなどを 着用する
N95マスクは、 空気中の 小さな 粒子を 吸い 込むことを 減らすためのマスクです。 顔との 間に すき間ができないように 着けます。
部屋・ 環境
個室での 対応を 基本とし、 換気の 方法や 医療機関への 受診について、 医療職と 相談します。
間違えやすいこと
サージカルマスクだけでは、 職員の 空気感染への 対策として 十分ではありません。
② 飛沫感染への 対策
代表例: インフルエンザなど
サージカルマスクを 着用し、 必要に 応じて 目も 守る
しぶきが目に 入るおそれがあるときは、 ゴーグルやフェイスシールドも 使います。
利用者にも、 無理なく 着けられる 状態であれば、 マスクの着用を お願いします。
部屋・ 環境
換気を 行い、 ほかの利用者との 接触を 減らします。 個室の 利用や ベッドの配置などを 調整します。
間違えやすいこと
「少し 離れれば、 必ず 安全」 とはいえません。 距離だけでなく、 マスクや換気などを 組み 合わせます。
③ 接触感染への 対策
代表例: ノロウイルス・ 疥癬・MRSAなど
手袋と、 必要な ガウン・エプロンを 使う
利用者や、 病原体が ついているおそれのある 物に 触れるときは、 手袋を 使います。
衣服や 腕も 汚れるおそれがあるときは、 ガウンなどを着用します。 腕まで 守る 必要があるときは、 長袖ガウンを 選びます。
物・ 環境
器具は、 できるだけ利用者ごとに 分けます。 共用する 器具は、 使った 後に 適切に 洗浄・ 消毒します。
手すりやドアノブなども、 病原体に 合わせた 方法で 清掃・ 消毒します。
間違えやすいこと
汚れた 手袋のまま、 ドアノブやほかの 利用者に 触れてはいけません。
手袋を 外した 後は、 手指衛生を 行います。
診断が 出るまで 待たない
発熱・せき・ 下痢などがあり、 感染症が 疑われるときは、 医療職に 報告します。
医師の 診断が 出る 前でも、 必要な 対策を 始めます。 施設の 手順や 医療職の 指示に 沿って 対応しましょう。
覚えておこう
感染経路が 複数あるときは、 対策も 組み 合わせます。
部屋を 分けるかどうかなどは、 病気や 症状、 ほかの人に うつす可能性に 合わせて 判断します。
試験で 覚えるポイント
標準予防策を 続けながら、 感染経路別予防策を 追加します。
空気感染では N95マスク、 飛沫感染では サージカルマスク、 接触感染では 手袋・ガウンなど が対策の 目安です。
防護具だけでなく、 手指衛生や 環境への 対策も 確認しましょう。
手洗い・ 消毒・ 手袋の 使い方を 確認しよう
手についた 病原体は、 介護や 物への 接触を 通して、 ほかの人に 広がることがあります。
手洗いや 手指消毒で、 手についた 病原体を 減らすことを、 手指衛生 といいます。
手洗いと アルコール消毒を 使い分けよう
石けんと 流水による 手洗い
汚れと 一緒に、 病原体を 洗い流します。
こんなときに行う
・目に
見える
汚れがあるとき
・トイレの後
・便や
嘔吐物で
汚れたおそれがあるとき
・ノロウイルスが
疑われる
人の
おむつ交換などの
後
アルコールによる 手指消毒
手指用の 消毒薬を 使い、 病原体の 数や 感染する 力を 減らします。
こんなときに行う
目に 見える 汚れがなく、 アルコールが有効な 病原体への 対策として、 日常の ケアの前後などに 使います。
製品に 示された 量を 使い、 乾くまで 手全体に すり込みます。
ノロウイルスでは 手洗いが 大切
アルコールによる 手指消毒は、 石けんと 流水による 手洗いの 代わりにはなりません。
石けんで ノロウイルスを殺すのではなく、 汚れと 一緒に 洗い 流すことが 大切です。
手指衛生を 行うタイミング
① 利用者に 触れる 前
② 清潔な 操作をする 前 (口腔ケアなど)
③ 血液・ 体液などに 触れた、 または触れたおそれのある 後
④ 利用者に 触れた 後
⑤ 利用者の 周りの 物に 触れた 後 (ベッドの柵など)
洗い 残しにも 注意しよう
指先・ 爪の 周り・ 指の 間・ 親指・ 手首は、 洗い 残しやすいところです。
爪を 短くし、 時計や 指輪を 外して 洗います。 洗った 後は、 ペーパータオルなどで 水分を 取ります。 タオルをほかの人と 共用しません。
手袋は 交換することも 大切
利用者が 変わるとき
同じ 手袋で、 続けて 別の 利用者の ケアをしてはいけません。
汚れる 作業から 清潔な 作業に 移るとき
同じ 利用者でも、 おむつ交換の 後に 口腔ケアをするなど、 作業が 変わるときは 外します。
覚えておこう
手袋を 外す → 手指衛生 → 必要なら 新しい 手袋を 着ける
手袋は 手指衛生の 代わりにはなりません。 使い 捨ての 手袋を 洗ったり 消毒したりして、 繰り 返し 使ってはいけません。
洗浄・ 消毒・ 滅菌の 違い
洗浄 ― 汚れを 取り除く
水や 洗剤などで、 汚れや 微生物を 物の 表面から 取り 除きます。
消毒 ― 感染の 危険を 減らす
薬剤や 熱などで、 病原体の 数や 感染する 力を 減らします。 すべての微生物が なくなるとは限りません。
滅菌 ― すべての微生物を なくす
器具などにいる すべての微生物を 死滅させたり、 除去したりします。 消毒に 強い 芽胞 も対象です。
芽胞とは、 一部の 細菌がつくる、 熱や 乾燥などに 強い 形です。
器具などは、 原則として 洗浄で 汚れを 取り、 用途に 合わせて 消毒や 滅菌を 行います。 具体的な 方法は、 製品の 説明や 施設の 手順を 確認します。
試験で 覚えるポイント
汚れが 見えるときは、 石けんと 流水で 手を 洗います。
手袋を 外した 後も、 手指衛生が 必要です。
洗浄・ 消毒・ 滅菌は、 同じ 意味ではありません。 目的の 違いを 確認しましょう。
高齢者の 感染症と 日和見感染を 知ろう
高齢者は、 体を 守る 力が 低下していたり、 持病があったりするため、 感染症に 注意が 必要です。
症状が はっきり出ないこともあるため、 「いつもと違う」 変化を 見つけることが 大切です。
高齢者で 注意する3つのこと
① 感染を 防ぐ 力が 低下しやすい
加齢や 病気、 栄養が 足りないことなどで、 病原体から 体を 守る 力が 弱くなることがあります。
② 症状が はっきりしないことがある
感染症でも、 高い 熱が 出ないことがあります。 食欲や 元気がなくなるなど、 生活の 変化として 現れることもあります。
③ 重症化することがある
体力の 低下や 持病などの 影響で、 状態が 悪くなりやすい 人もいます。 小さな 変化でも 早めに 報告します。
「いつもと違う」を 確認しよう
食事・ 水分
食べる 量や、 飲む 量が 減っていないか。
元気・ 反応
いつもよりぼんやりしていないか。 声をかけたときの 反応が 弱くなっていないか。
呼吸・せき
息が 速くなっていないか。 息苦しそうではないか。 せきや痰が 増えていないか。
体温・ 排泄
いつもの体温と 違わないか。 下痢や 嘔吐、 尿の 量の 変化がないか。
覚えておこう
これらの変化は、 感染症 以外でも 起こります。 介護職だけで 病名を 決めず、 観察したことを 医療職に 伝えます。
強い 息苦しさや、 呼びかけへの 反応が 悪いなどの 変化があれば、 すぐに応援を 呼び、 施設の 緊急時の 手順に 沿って 対応します。
日和見感染とは?
健康なときには 病気を 起こしにくい 微生物が、 抵抗力の 低下によって 病気を 起こすこと を、 日和見感染 といいます。
抵抗力とは、 病原体などから 体を 守る 力です。
例
病気や
治療の
影響などで
抵抗力が
低下したときに、
緑膿菌や
カンジダなどが
病気を
起こすことがあります。
日和見感染は、 高齢者だけに 起こるものではありません。 年齢に 関係なく、 病気や 薬などで 抵抗力が 低下した 人にも 起こります。
保菌と 発症を 区別しよう
菌が 見つかったことと、 その菌による 病気が 起きていることは、 同じではありません。
保菌
体の 表面や 中に 菌がいても、 その菌による 症状が 出ていない 状態 です。
例: 鼻などから MRSAが見つかっても、 その菌による 病気を 起こしていない。
発症
病原体によって、 病気の 症状が 現れること です。
例: MRSAによる 肺炎などを 起こし、 発熱や 呼吸の 異常が 現れる。
症状がなくても 感染対策は 必要
保菌している 人から、 手や 物を 通して、 ほかの人へ 菌が 広がることがあります。
標準予防策を 続け、 必要な 追加の 対策は、 医療職と 確認します。
保菌しているという 理由だけで、 介護職が 一律に 個室や 活動の 制限を 決めることはしません。
試験で 覚えるポイント
高齢者は、 感染症でも 症状が はっきりしないことがあります。 熱だけでなく、 いつもとの違いを 確認します。
日和見感染では、 抵抗力の 低下が ポイントです。
保菌と 発症は 同じではありません。 ただし、症状がなくても 感染対策を 行います。
主な 感染症の 特徴と 予防を 確認しよう
病名だけでなく、 原因・ 特徴・ 感染経路・ 予防 をセットで確認しましょう。
ここでは、覚えやすいように 3つのグループに分けています。 症状だけで 病気を 判断するための 分類ではありません。
① せき・発熱・ 呼吸の 症状に 注意する 感染症
インフルエンザ
- 原因
- インフルエンザウイルス
- 特徴
- 急な 発熱、 せき、体のだるさ、 筋肉や 関節の 痛みなどが 出ます。 高齢者では 肺炎などに 注意します。
- 感染経路
- 飛沫感染・ 接触感染など
- 予防・介護
- マスク、手指衛生、 換気を 組み合わせます。 予防接種も 重症化を 防ぐために 重要です。
新型コロナウイルス 感染症
- 原因
- 新型コロナウイルス (SARS-CoV-2)
- 特徴
- 発熱、せき、 のどの痛み、 だるさなどが出ます。 症状が 出る 前や、 症状がないときにも うつすことがあります。
- 感染経路
- エアロゾル感染・ 飛沫感染・ 接触感染
- 予防・介護
- 換気、マスク、 手指衛生を 行います。 ケアの内容に 応じた 防護具を 選び、 呼吸や 食事量などの 変化を 観察します。
結核
- 原因
- 結核菌(細菌)
- 特徴
- 長く 続くせきや 痰、 微熱、 体重減少などが 見られます。 高齢者では、 食欲や 元気の 低下だけが 目立つこともあります。
- 感染経路
- 空気感染。 菌を 外に 出している 肺結核などの 人が 感染源になります。
- 予防・介護
- 疑う 変化を 早めに 報告します。 対応する 職員は N95マスクなどを使い、 医療職と 連携します。
レジオネラ症
- 原因
- レジオネラ属菌(細菌)
- 特徴
- 発熱やせき、 息苦しさなどが 出ます。 肺炎が 重症化することがあります。
- 感染経路
- 菌を 含む 細かい 水の 粒などを 吸い込んで 感染します。 通常、 人から 人にはうつりません。
- 予防・介護
- 浴槽や 加湿器などの 水を使う設備の管理 が重要です。 決められた 手順で 清掃・ 消毒などを 行います。
② 嘔吐・ 下痢・ 皮膚の 症状に 注意する 感染症
ノロウイルスによる感染性胃腸炎
- 原因
- ノロウイルス
- 特徴
- 嘔吐、 下痢、 腹痛などが 出ます。 高齢者では 脱水や、 吐いたものを 気道に 詰まらせることにも 注意します。
- 感染経路
- 食品や 手などを 通した 経口感染。 便や 嘔吐物にも 多くのウイルスが 含まれます。
- 予防・介護
- 石けんと流水による手洗い が大切です。 嘔吐物は 防護具を 着けて 処理し、 環境には 次亜塩素酸ナトリウムなど、 有効な 消毒方法を 用います。
腸管出血性大腸菌感染症
- 原因
- ベロ毒素をつくる 大腸菌 (O157など)
- 特徴
- 強い 腹痛、 下痢、 血便などが 出ます。 腎臓などに 障害が 起こる 溶血性尿毒症症候群 (HUS)を起こすことがあります。
- 感染経路
- 食品・ 水・ 便で 汚れた 手などを 通した 経口感染
- 予防・介護
- 肉などを 中心まで 十分に 加熱し、 手洗いを 行います。 血便や強い腹痛 は、すぐに医療職へ 報告します。
疥癬
- 原因
- ヒゼンダニ(ダニの一種)
- 特徴
- 皮膚に 寄生し、 かゆみや発疹などを 起こします。 角化型疥癬 ではダニが非常に 多く、 うつりやすくなります。
- 感染経路
- 主に 皮膚の 接触。 角化型疥癬では、 寝具や 衣類、 はがれた皮膚などからも 広がります。
- 予防・介護
- 早めに 医療職へ 相談します。 手袋や 長袖ガウン、 リネンの扱い、 個室の 必要性などは、 通常疥癬か角化型疥癬か によって確認します。
③ 血液・ 傷・ 抵抗力に 関係する 感染症
B型肝炎
- 原因
- B型肝炎ウイルス(HBV)
- 特徴
- 肝臓に 炎症を 起こします。 だるさや食欲低下、 皮膚や 白目が 黄色くなる 黄疸などが 出ることがあります。
- 感染経路
- 血液や 性的接触など。 母親から 子への 母子感染もあります。
- 予防・介護
- 血液に 直接 触れないようにし、 針刺しを 防ぎます。 予防のためのワクチンがあります。
HIV感染症・エイズ
- 原因
- HIV(ヒト免疫不全ウイルス)
- 特徴
- 体を 守る 免疫の 働きが 低下します。 日和見感染症など、 決められた 病気を 発症した 状態を エイズといいます。 HIV感染とエイズは同じではありません。
- 感染経路
- 性的接触、 血液を 介する 感染、 母子感染
- 予防・介護
- 標準予防策を 行います。 握手や一緒に食事をすることではうつりません。 治療を 続けることで、 エイズの発症を 防ぐことができます。
破傷風
- 原因
- 破傷風菌がつくる 毒素
- 特徴
- 口が 開きにくくなる、 筋肉が 硬くなる、 けいれんするなどの 症状が 出ます。
- 感染経路
- 土などにいる 菌が 傷口から 入ります。 人から人にはうつりません。
- 予防・介護
- 傷を 洗い、 土で 汚れた 傷などは 早めに 医療職へ 相談します。 ワクチンの接種歴も 確認します。
MRSA
- 原因
- メチシリン耐性黄色ブドウ 球菌。 一部の 抗菌薬が 効きにくい 細菌です。
- 特徴
- 保菌していても 症状がないことがあります。 抵抗力が 低下した 人などでは、 肺炎や 傷の 感染などを 起こします。
- 感染経路
- 主に 手や 器具などを 通した 接触感染
- 予防・介護
- 手指衛生や 器具の 管理を 行います。 すべての抗菌薬が効かないわけではありません。 治療や 追加の 対策は、 医療職が 状態に 応じて 判断します。
緑膿菌
- 原因
- 水まわりなど、 湿った 場所にもいる 細菌
- 特徴
- 抵抗力が 低下した 人などで、 日和見感染 を起こすことがあります。 肺炎や 尿路感染症などの 原因になります。
- 感染経路
- 汚染された 手や 器具などを 通して 広がります。 もともと体にいる 菌が 原因になることもあります。
- 予防・介護
- 手指衛生を 行い、 水まわりや 器具を 清潔に 管理します。 抗菌薬が 効きにくい 菌もありますが、 すべての緑膿菌が多剤耐性というわけではありません。
覚えておこう
同じ 症状でも、 原因や 必要な 対策は 違います。
介護職は、 病名を 決めるのではなく、 変化を 観察して 報告し、 医療職と 連携して 対応します。
試験で 覚えるポイント
結核 は空気感染、 疥癬 の原因はヒゼンダニです。
レジオネラ症 は浴槽や 加湿器などの 管理、 破傷風 は土と 傷口に 注目します。
HIV感染とエイズ、 保菌と発症 は、それぞれ区別して 覚えましょう。
毎日の 介護で 感染を 防ごう
感染対策は、 感染症が 発生したときだけ 行うものではありません。 毎日の 介護の 中で、 手・ 物・ 環境を 通して 病原体を 広げない ことが大切です。
① 排泄介助・ おむつ交換
清潔なものと、 使用済みのものを 分ける
おむつ交換では、 使い捨ての 手袋と、 エプロンまたは長袖ガウンを 着用します。 必要な 物品を 先に 準備しておきます。
使用済みのおむつは、 周りを 汚さないように 袋などに 入れます。 汚れた 手袋で、 新しいおむつの 保管場所や ドアノブに触れません。
手袋やエプロンは、 ケアごとに交換します。 手袋を 外した 後は、 手指衛生を 行います。
② 口腔ケア
唾液や しぶきから身を 守り、 道具を 共用しない
口の 中や 唾液に 触れるため、 手袋を 使います。 しぶきが顔に かかるおそれがあるときは、 マスクやゴーグルなども 着用します。
歯ブラシや 義歯の 容器は、 利用者ごとに 分けます。 使った 後は 製品に 合った 方法で 洗い、 清潔に 保管します。
口の 中を 清潔に 保つことは、 誤嚥性肺炎の 予防にもつながります。 誤嚥性肺炎とは、 細菌を 含む 唾液などが 気道に 入ることで 起こる 肺炎です。
③ 食事介助
食事の 前は、 職員も 利用者も 手を 清潔にする
職員は、 食事介助の 前に、 石けんと 流水で 手を 洗います。 利用者にも 手洗いを 促し、 必要な 介助をします。
清潔な 食器や 器具を 使います。 食品は、 決められた 温度と 時間で 管理します。
排泄介助に 使った 手袋やエプロンのまま、 食事介助をしません。
④ リネン・衣類
汚れたリネンを 振り回さず、 静かにまとめる
リネンとは、シーツやタオルなどです。 交換するときは、 病原体を 広げないように、 汚れた 面を 内側にしてまとめます。
床に 置かず、 決められた 袋や 容器に 入れます。 便や 嘔吐物などが ついているときは、 必要な 防護具を 使います。
洗濯や 消毒の 方法は、 病原体、 汚れの 状態、 素材に 合わせて 確認します。
⑤ 清掃・ 共用する 物
よく触れる 場所を 清潔にする
ドアノブ、手すり、 ベッドの柵、 スイッチなどは、 多くの 人が 触れます。 定期的に 清掃し、 必要に 応じて 消毒します。
トイレに使った 清掃用具は、 食事のテーブルなどには 使いません。 共用する 器具も、 使用後に 適切に 洗浄・ 消毒します。
消毒薬は、 病原体と 使う 場所に 合わせて 選びます。 製品に 示された 濃度や 使用方法を 守ります。
⑥ 浴槽・ 加湿器
水を 使う 設備で、 菌を 増やさない
浴槽や 加湿器などは、 管理が 不十分だと、 レジオネラ属菌などが 増えることがあります。
浴槽だけでなく、 配管やフィルターなども、 決められた 手順で 清掃・ 消毒します。 必要な 水質検査や 記録も 行います。
加湿器は、 取扱説明書に 従い、 水の 交換や タンクの洗浄を 行います。
見た目が きれいでも、 菌がいないとは 限りません。
職員自身の 健康管理も 感染対策
出勤前に、 発熱・せき・ 嘔吐・ 下痢などがないか、 体調を 確認します。
感染症が 疑われる 症状があるときは、 出勤する 前に 職場へ 連絡 し、勤務や 受診について 相談します。 勤務中に 症状が 出たときも、 すぐに報告します。
日頃から 睡眠や 栄養をとり、 手荒れのケアや、 必要な 予防接種の 確認も 行います。
覚えておこう
清掃の 途中で 利用者に 呼ばれても、 汚れた 手袋のまま 介助しません。
手袋を 外して 手指衛生を 行い、 次のケアに 必要な 準備をします。
試験で 覚えるポイント
手袋を 着けていても、 その表面は 汚れます。 利用者や 作業が 変わるときの 対応に 注意しましょう。
清潔なものと 汚れたものを 分け、 手や 物を 通して 病原体を 広げないことが 基本です。
感染が 疑われるときは、 どう対応する?
発熱・せき・ 嘔吐・ 下痢などが 見られたら、 利用者の 状態を 確認し、 医療職や 責任者に 連絡します。
利用者の 安全を 守りながら、 ほかの人に 感染を 広げない 対応を 始めます。
最初に 行うこと
① 状態と 安全を 確認する
呼びかけに 反応するか、 息苦しさがないか、 顔色はどうかを 確認します。 嘔吐しているときは、 吐いたものが 気道に 入らないように 注意します。
強い 息苦しさや、 呼びかけへの 反応が 悪いときは、 すぐに応援を 呼びます。 施設の 緊急時の 手順に 沿って、 救急要請などの 対応をします。
② 応援を 呼び、 医療職に 連絡する
一人で すべてに対応しようとせず、 利用者を 見守る 人、 連絡する 人、 環境を 整える 人など、 役割を 分けます。
症状、 始まった 時刻、 いつもとの違いを 伝えます。 すべての情報が そろうまで、 連絡を 待つ 必要はありません。
③ 感染を 広げない 対策をする
標準予防策を 行い、 疑われる 感染経路に 合わせて、 必要な 防護具を 使います。
ほかの利用者との 接触を 減らす、 部屋を 調整する、 器具を 分けるなど、 医療職と 相談して 対応します。
④ 記録し、 職員間で 共有する
症状や 対応、 受けた 指示を 時刻と 一緒に 記録します。 交代する 職員にも 伝えます。
ほかの利用者や 職員にも 同じような 症状がないかを 確認し、 責任者へ 報告します。
覚えておこう
診断が 出る 前でも、 必要な 感染対策を 始めます。
状態確認、 連絡、 感染対策は、 状況に 応じて 同時に 進めます。 緊急の 対応を、 記録のために 遅らせません。
例: 利用者が 嘔吐したとき
嘔吐には、 感染症 以外の 原因もあります。 ただし、原因が わかるまでは、 ノロウイルスなどの 病原体が 含まれている 可能性 を考えて 処理します。
① 利用者を 守り、 周りの 人を 離す
利用者の 状態を 確認し、 応援を 呼びます。 床の 清掃だけを 優先しません。
ほかの利用者が 近づいたり、 嘔吐物を 踏んだりしないようにします。 換気も 行います。
② 防護具と 処理用品を 準備する
使い捨ての 手袋、 エプロンまたは長袖ガウン、 マスクを着用します。 しぶきがかかるおそれがあれば、 ゴーグルやフェイスシールドも 使います。
ペーパータオル、 廃棄用の 袋、 適切な 消毒液などを 準備します。
③ 外側から 内側へ、 静かに 拭き取る
嘔吐物を 湿らせた ペーパータオルなどで 覆い、 周りに 広げないように 拭き取ります。
一度 使った ペーパータオルは、 廃棄用の 袋へ 入れます。 同じ 面で、 ほかの場所を 拭きません。
④ 周りも 消毒する
目に 見える 嘔吐物の 周りにも、 しぶきが飛んでいる 可能性があります。 汚れを 取り除いた 後、 周囲も 含めて 消毒します。
ノロウイルスを想定し、 次亜塩素酸ナトリウムなど、 有効な 消毒薬を 使います。 濃度、 消毒液で 濡らしておく 時間、 水拭きの 方法は、 製品の 説明と 施設の 手順を 確認します。
⑤ 廃棄して、 手を 洗う
使ったものは 袋に 入れて 口を 閉じ、 施設の 手順に 従って 捨てます。
防護具は、 汚れた 表面が 手や 衣服につかないように 外します。 最後に、 石けんと 流水で 手を 洗います。
嘔吐物の 処理で してはいけないこと
掃除機で 吸う、 ほうきで掃く、 消毒液を スプレーで吹きかける ことは避けます。 病原体を 周りに 広げる おそれがあります。
次亜塩素酸ナトリウムは、 手指の 消毒には 使いません。 酸性の 洗剤などと 混ぜてはいけません。
報告・ 記録すること
症状と 経過
いつから、どのような 症状があるか。 嘔吐や 下痢の 回数、 体温、 呼吸、 反応などを 伝えます。
行った 対応
誰に 連絡したか、 どのような指示があったか、 どの対策を 行ったかを 時刻とともに 残します。
見たことを 具体的に 伝える
「ノロウイルスだと思います」 と病名を 決めるのではなく、 観察した 事実を 伝えます。
報告の例
「10時ごろから
2回
嘔吐しました。
体温は37.8℃です。
呼びかけには
答えますが、
いつもより元気がありません。」
試験で 覚えるポイント
利用者の 安全確認、 早めの 連絡、 感染を 広げない 対策 を組み 合わせます。
嘔吐物は、 防護具を 着け、 外側から 内側へ 静かに 拭き取ります。 処理後は、 石けんと 流水で 手を 洗います。
感染症法と 保健所の 役割を 知ろう
感染症法は、 感染症を 予防し、 広がることを 防ぐための 法律です。 患者が 必要な 医療を 受けるための 仕組みも 定めています。
1〜5類の 代表例を 確認しよう
感染する 力や、 病気の 重さ、 必要な 対策などを 考えて 分類されています。
一類感染症
感染力や 重症化などの 面から、 危険性が 非常に 高い 感染症です。
例
エボラ出血熱、
ペストなど
二類感染症
感染力や 重症化などの 面から、 危険性が 高い 感染症です。
例
結核、
SARS(重症急性呼吸器症候群)、
MERS(中東呼吸器症候群)など
三類感染症
食品を 扱う 仕事などを 通して、 集団感染を 起こすおそれがある 感染症です。
例
腸管出血性大腸菌感染症、
コレラ、細菌性赤痢など
四類感染症
動物や 水、 食品などを 通してうつり、 感染源や 環境への 対策が 重要な 感染症です。
例
レジオネラ症、
A型肝炎、
狂犬病など
五類感染症
発生状況を 調べ、 情報を 伝えることで、 予防や 感染の 拡大防止につなげる 感染症です。
例
季節性インフルエンザ、
新型コロナウイルス
感染症、
感染性胃腸炎、
麻しん、
破傷風など
分類と 感染経路は 別に 覚えよう
結核も 麻しんも 空気感染しますが、 結核は 二類、 麻しんは 五類 です。
「五類だから 軽い」 「感染対策はいらない」 という意味ではありません。
感染症法には、 1〜5類のほかにも、 新型インフルエンザ 等感染症、 指定感染症、 新感染症 という区分があります。
五類にも 2つの把握方法がある
把握とは、 状況を 知ることです。 五類感染症の 発生状況を 知る 方法には、 次の2つがあります。
全数把握
届出の 基準に 当てはまる 患者などを 診断した 医師が、 一人ずつ 届け出ます。
例: 麻しん、 破傷風など
定点把握
あらかじめ指定された 医療機関が、 患者数などを 報告します。 流行の 動きを 調べます。
例: 季節性インフルエンザ、 新型コロナ、 感染性胃腸炎など
医師の 届出と、 施設の 報告を 区別しよう
感染症法に 基づく 医師の 届出とは 別に、 施設にも 感染症などの 発生状況を 報告する 仕組み があります。
同じような 症状の 人が 増えたときなどは、 介護職から 医療職や 施設の 責任者へ 伝えます。
施設長などは、 報告基準に 従い、 保健所と、 市町村などの 施設を 担当する 部署 に報告します。 基準に 達していなくても、 必要なときは 早めに 相談します。
保健所は 何をするところ?
保健所は、 地域の 人たちの 健康を 守る 行政機関です。 感染症への 対応では、 次のような 役割があります。
① 発生状況を 調べる
いつ、どこで、何人に 症状が 出たかなどを 確認します。 感染源や 広がり方を 調べます。
② 感染対策を 助言する
消毒、 利用者の 健康観察、 施設内での 対応などについて、 必要な 助言や 指導をします。
③ 関係機関と 連携する
医療機関や 自治体などと 情報を 共有し、 感染が 広がることを 防ぎます。
施設でも 日頃から 準備しよう
感染対策の 体制
委員会や 担当者を 中心に、 手順、 連絡先、 物品を 確認します。 研修や 訓練も 行います。
BCP(業務継続計画)
感染症で 職員が 休むなどしても、 必要な 介護を 続けるための 計画 です。 優先する 業務や 応援の 頼み方などを 決めておきます。
試験で 覚えるポイント
結核は 二類、 腸管出血性大腸菌感染症は 三類、 レジオネラ症は 四類 です。
五類にも 全数把握と 定点把握があり、 必要な 感染対策は 続けます。
保健所は、 感染症の 調査や 対策について 相談・ 連携する 機関 です。
試験では ここを確認しよう
感染症の 問題を 解くときは、 病名だけを 見て 答えを 選ばないようにしましょう。
まず、 「この問題は、 何を 聞いているか」 を確認します。 ここまで学んだことを、 次の5つに 分けて 整理しましょう。
① 病原体
「何が 原因で 起こる?」
ウイルス、細菌、 真菌、 ダニなどの違いを 確認します。
確認する 組み合わせ
・インフルエンザ → ウイルス
・結核
→ 細菌
(結核菌)
・疥癬
→ ヒゼンダニ
「感染症は すべて細菌が 原因」 ではありません。
② 感染経路
「どのようにうつる?」
病原体が、 どのように体に 入るかを 確認します。
確認する 組み合わせ
・結核
→ 空気感染
・ノロウイルス
→ 手や
食品などを
通して
口から
入る
・破傷風
→ 傷口から
菌が
入る
感染経路は、 1つだけとは限りません。 また、人から 人へ うつらない感染症もあります。
③ 予防策
「どうすれば防げる?」
手洗い、 消毒、 防護具、 換気などが、 病原体や 感染経路に 合っているかを 確認します。
確認する 組み合わせ
・空気感染への
職員の
対策
→ N95マスクなど
・ノロウイルスへの
手指衛生
→ 石けんと
流水による
手洗い
・レジオネラ症の
予防
→ 浴槽や
加湿器などの
管理
「どの病原体にも、 同じ 消毒方法でよい」 とは考えません。
④ 症状・ 状態
「どのような変化に 注意する?」
発熱などの 症状だけでなく、 食欲、 元気、 呼吸など、 いつもとの違いに 注目します。
区別して 覚えること
・保菌していることと、
発症していること
・HIVに感染していることと、
エイズを発症していること
「熱がないから、 感染症ではない」 とは判断できません。
⑤ 介護・ 連携
「介護職は どう対応する?」
利用者の 安全を 守る 行動、 医療職への 報告、 感染を 広げない 対応を 確認します。
確認すること
・嘔吐したときは、
清掃だけでなく
利用者の
状態も
確認する
・観察したことを
医療職へ
具体的に
報告する
・施設は
必要に
応じて
保健所などと
連携する
介護職だけで 病名や 治療を 決めません。
選択肢は 最後まで 読もう
知っている 言葉が 出てきても、 その選択肢が 正しいとは 限りません。 「誰に」 「いつ」 「何をするか」 まで確認しましょう。
例: 手袋についての 文章
「おむつ交換では 手袋を 使うため、 外した 後の 手指衛生は 必要ない。」
この文章は 誤りです。 手袋を 使うことは 正しいですが、 外した 後も 手指衛生が 必要です。
前半だけで 判断せず、 文章全体 を読みましょう。
試験のポイント
① 病原体
② 感染経路
③ 予防策
④ 症状・
状態
⑤ 介護・
連携
何を 聞かれているかを 確認し、 選択肢の 内容が 場面に 合っているかを 考えましょう。
試験でよく 間違えるポイント
○か×かを考えてから、 「答えを見る」を 押して 確認しましょう。
症状がなければ、 感染していない。
○ それとも × ?
答えを見る
感染していても、 症状が 出ないことがあります。 感染することと、 発症することは 同じではありません。
標準予防策は、 すべての利用者に 行う。
○ それとも × ?
答えを見る
感染症があるかどうかに かかわらず、 すべての利用者に 行います。
ただし、いつもすべての 防護具を 使うわけではありません。 ケアの内容に 合わせて 選びます。
手袋をしていれば、 外したあとの 手指衛生は 必要ない。
○ それとも × ?
答えを見る
手袋を 外すときなどに、 手が 汚れることがあります。 手袋を 外したあとも、 手指衛生を 行います。
感染経路別予防策は、 標準予防策に 追加して 行う。
○ それとも × ?
答えを見る
標準予防策を 続けながら、 感染経路に 合わせた 対策を 追加します。 標準予防策を やめるわけではありません。
高齢者は、 高い熱がなければ、 感染症を 疑う 必要はない。
○ それとも × ?
答えを見る
高齢者は、 感染しても 高い熱が 出ないことがあります。
食事の 量や、 意識・ 呼吸の 状態など、 いつもとの違いにも 注意します。
MRSAを保菌していることと、 発症していることは 同じである。
○ それとも × ?
答えを見る
MRSAが体にいても、 症状がない 場合があります。 保菌しているだけで、 発症しているとは いえません。
症状がなくても、 必要な 感染対策は 行います。
感染症が 疑われるときは、 診断が 決まるまで 報告しない。
○ それとも × ?
答えを見る
診断を 待たずに、 気づいた 変化を 速やかに 報告します。
いつから、どのような 症状があるかを、 看護職や 責任者に 具体的に 伝えます。
同じ 利用者のケアでも、 汚れた 作業から 清潔な 作業に 移るときは、 手袋を 交換する。
○ それとも × ?
答えを見る
おむつ交換に 使った 手袋のまま、 口腔ケアをしてはいけません。
手袋を 外して 手指衛生を 行い、 新しい 手袋をつけます。
まとめ
感染症について、 試験で 大切なポイントを 確認しましょう。
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感染が 成立する3つの 要因は、 感染源・ 感染経路・ 感受性宿主 です。
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感染していても、 症状が 出ないことがあります。 感染と 発症は 同じではありません。
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標準予防策は、 感染症があるかどうかに かかわらず、 すべての利用者に 行います。
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標準予防策に 加えて、 感染経路に 合わせた 対策 を行います。
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手袋を 外したあとも、 手指衛生が 必要です。 手袋は、 利用者や 作業に 合わせて 交換します。
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高齢者は、 感染しても 高い熱が 出ないことがあります。 食事の 量や 意識、 呼吸などの 変化 にも注意します。
-
感染が 疑われるときは、 利用者の 安全を 確認し、 気づいた 変化を 速やかに 報告します。
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保健所は、 感染症の 発生状況を 調べ、 感染が 広がらないように 助言や 支援 をします。
試験のポイント:
感染症の 問題では、 病気の 名前を 覚えるだけでなく、 「どのようにうつるか」 「どうすれば防げるか」 を考えることが 大切です。
病原体、 感染経路、 予防策、 介護職の 対応を 一緒に 確認しておきましょう。
実際の 過去問に 挑戦しよう
感染症の 基本がわかったら、 実際に 出題された 介護福祉士国家試験の 問題に 挑戦してみましょう。
学んだポイントを 過去問で 確認しよう
感染経路、 標準予防策、 手指衛生などが、 実際の 試験で どのように問われているか 確認できます。