介護福祉職の
「職業倫理」とは
介護福祉職は、
利用者の
生活を
支える
仕事です。
食事や
入浴、
排泄などの
介護だけでなく、
利用者の
気持ちや
考えを
大切にしながら
支援することが
求められます。
職業倫理
とは、
仕事をするときに
守るべき
考え方や
行動の
基準のことです。
介護福祉職には、
次のような
行動が
求められます。
- 利用者の尊厳を守る
- 本人の気持ちや希望を大切にする
- 安全に介護する
- 秘密や個人情報を守る
- 専門職として適切に行動する
職業倫理は、
「利用者のために、
どのように考え、
どのように行動するか」を
判断するための
大切な
考え方です。
日本介護福祉士会の
倫理綱領から見る、
介護福祉職の
基本姿勢
日本介護福祉士会では、
介護福祉士が
専門職として
大切にする
考え方や
行動を、
「倫理綱領」として
示しています。
国家試験では、
倫理綱領の
言葉そのものだけでなく、
実際の
介護場面で
どのように行動するべきかが
問われます。
1.利用者本位、
自立支援
【倫理綱領の本文】
介護福祉士は、すべての
人々の
基本的人権を
擁護し、
一人ひとりの
住民が
心豊かな
暮らしと
老後が
送れるよう
利用者本位の
立場から
自己決定を
最大限尊重し、
自立に
向けた
介護福祉サービスを
提供していきます。
● わかりやすく説明
介護職や
施設の
都合ではなく、
利用者の
気持ちや
希望、
生活を
中心に
考えます。
また、
利用者が
自分の
生活について
自分で
選び、
決めることを
大切にします。
そして、
何でも
介護職がしてしまうのではなく、
本人ができることを
続けられるように
支援します。
【言葉の解説】
利用者本位:
職員や
施設ではなく、
利用者を
中心に
考えることです。
自己決定:
自分のことを
自分で
選び、
決めることです。
自立支援:
利用者が
自分でできることを
続けられるように
支えることです。
★ 実際の
試験で出たポイント
利用者の
価値観や
希望を
大切にすることや、
本人を
中心に
支援を
考えることが
問われています。
利用者本位=
「誰を中心に
考えるか」
自己決定=
「誰が
選び、決めるか」
自立支援=
「できることを、どう支えるか」
2.専門的サービスの
提供
【倫理綱領の本文】
介護福祉士は、
常に
専門的知識・
技術の
研鑽に
励むとともに、
豊かな
感性と
的確な
判断力を
培い、
深い
洞察力をもって
専門的な
介護福祉サービスの
提供に
努めます。
● わかりやすく説明
介護福祉士は、
資格を
取ったあとも、
知識や
技術を
学び
続けます。
また、
利用者の
気持ちや
状態を
よく見て、
適切に
判断することが
大切です。
【言葉の解説】
研鑽:
知識や
技術を
高めるために
学び
続けることです。
洞察力:
表面だけではなく、
その理由や
背景まで
考える
力です。
★ 実際の
試験で出たポイント
専門職として、
自分の
役割や
専門性を
理解して
行動することが
問われています。
3.プライバシーの
保護
【倫理綱領の本文】
介護福祉士は、
プライバシーを
保護するため、
職務上知り
得た
個人の
情報を
守ります。
● わかりやすく説明
仕事で
知った
利用者の
病気や
家族、
生活などの
情報を、
必要のない
人に
話してはいけません。
【言葉の解説】
プライバシー:
他の
人に
勝手に
知られたり、
見られたりしたくない
私生活のことです。
★ 実際の
試験で出たポイント
第31回・
第32回では、
プライバシーや
個人情報の
取り扱いに
関する
内容が
問われています。
情報だけでなく、
入浴・
排泄・
着替えなどの
介護場面でも、
プライバシーへの
配慮が
必要です。
4.総合的サービスの
提供と
積極的な
連携・
協力
【倫理綱領の本文】
介護福祉士は、
利用者に
最適なサービスを
総合的に
提供していくため、
福祉、
医療、
保健その
他関連する
業務に
従事する
者と
積極的な
連携を
図り、
協力して
行動します。
● わかりやすく説明
介護福祉職だけで
利用者を
支えるのではなく、
医師や
看護師などの
専門職と
協力します。
【言葉の解説】
連携:
情報を
共有し、
それぞれの
役割を
活かして
協力することです。
★ 実際の
試験で出たポイント
介護福祉職が
一人で
判断するのではなく、
他職種や
地域と
連携して
支援することが
問われています。
5.利用者ニーズの
代弁
【倫理綱領の本文】
介護福祉士は、
暮らしを
支える
視点から
利用者の
真のニーズを
受けとめ、
それを
代弁していくことも
重要な
役割であると
確認したうえで、
考え、
行動します。
● わかりやすく説明
利用者が
自分の
希望を
うまく伝えられないときは、
本人の
気持ちを
考え、
必要に
応じて
周囲に
伝えます。
【言葉の解説】
代弁:
本人の
思いや
希望を、
本人に
代わって
伝えることです。
★ 実際の
試験で出たポイント
利用者の
価値観や
希望を
大切にすること、
本人の
立場から
考えることが
重要です。
6.地域福祉の
推進
【倫理綱領の本文】
介護福祉士は、
地域において
生じる
介護問題を
解決していくために、
専門職として
常に
積極的な
態度で
住民と
接し、
介護問題に
対する
深い
理解が
得られるよう
努めるとともに、
その
介護力の
強化に
協力していきます。
● わかりやすく説明
施設の
中だけでなく、
地域の
人とも
関わりながら、
地域全体で
介護を
支えられるようにします。
★ 試験で
覚えておきたいポイント
介護福祉士の
役割は
施設内だけではありません。
地域や
住民との
関わりも
倫理綱領に
含まれています。
7.後継者の
育成
【倫理綱領の本文】
介護福祉士は、
すべての
人々が
将来にわたり
安心して
質の
高い
介護を
受ける
権利を
享受できるよう、
介護福祉士に
関する
教育水準の
向上と
後継者の
育成に
力を
注ぎます。
● わかりやすく説明
介護福祉士は、
自分が
学ぶだけではなく、
後輩や、
これから
介護福祉士になる
人を
育てることも
大切です。
【言葉の解説】
後継者:
次の
世代で、
その仕事を
受け継ぐ
人です。
★ 試験で
覚えておきたいポイント
自分の
知識・
技術を
高めるだけでなく、
後継者を
育てることも、
倫理綱領に
含まれています。
事例研究や
発表でも
倫理が
必要
介護の
現場では、
支援を
振り返ったり、
よりよい介護を
考えたりするために、
事例研究や
事例発表を
行うことがあります。
このようなときも、
利用者の
権利や
個人情報を
守るための
倫理的配慮が
必要です。
1.本人に
説明して
同意を
得る
利用者の
事例を
研究や
発表で
使うときは、
どのような目的で
使うのかを
本人に
わかりやすく説明し、
同意を
得ます。
2.個人が
わからないようにする
名前を
出さなくても、
年齢や
住んでいる
場所、
家族構成、
病気などの
情報を
組み合わせると、
本人が
わかってしまうことがあります。
必要のない
個人情報は
出さないようにします。
3.情報を
適切に
管理する
利用者の
記録や
研究で
使うデータを、
誰でも
見られる
場所に
置いてはいけません。
必要な
人だけが
扱えるように、
適切に
管理します。
4.引用元を
明らかにする
他の
人が
書いた
本や
論文、
資料などを
使ったときは、
どこから引用したのかを
示します。
他の
人の
文章や
考えを、
自分のもののように
使ってはいけません。
5.事実を
変えない
研究の
結果を
よく見せるために、
実際に
起きたことを
変えたり、
都合のよい
部分だけを
使ったりしてはいけません。
実際に
起きたことを
正しく
記録し、
正しく
伝えることが
大切です。
【言葉の
解説】
事例研究:
実際の
介護の
事例を
振り返り、
よりよい支援について
考えることです。
倫理的配慮:
人の
権利や
気持ち、
個人情報などを
守るために
注意することです。
同意:
説明を
聞いて
理解したうえで、
「それでよい」と
認めることです。
特定される:
情報から
「この人のことだ」と
わかってしまうことです。
引用:
他の
人が
書いた
文章や
資料の
一部を
使うことです。
★ 実際の
試験で
出たポイント
第36回の
国家試験では、
事例研究を
行うときの
倫理的配慮について
出題されました。
本人への
説明と
同意、
個人情報の
保護、
引用元を
明らかにすること、
事実を
変えないことなどを
確認しておきましょう。
事例研究では、
「研究だから
自由に
情報を
使ってよい」
わけではありません。
利用者の
権利と
個人情報を
守ることが
基本です。
職業倫理と
介護過程の関係
職業倫理と
介護過程は、
どちらも介護福祉職にとって
大切ですが、
意味は同じではありません。
職業倫理
介護福祉職が
仕事をするときに
大切にする
考え方や
行動の基準です。
介護過程
利用者の
情報を集め、
課題を考え、
その人に合った
支援を
計画・実施・
評価する方法です。
「職業倫理を
高めること」は
大切ですが、
介護過程そのものの
目的ではありません。
国家試験ではどんな
問題が出る?
職業倫理の
問題では、
倫理綱領の
言葉だけではなく、
実際の
介護場面で
どのように行動するかが
問われます。
- 利用者の尊厳や希望
- 利用者本位・自己決定
- プライバシー・秘密保持
- 個人情報の管理
- 身体拘束
- 他職種との連携
- 事例研究での倫理的配慮
- 職業倫理と介護過程の違い
「利用者の立場で
考えているか」
「利用者の権利を
守っているか」
「専門職として
適切か」を
確認しましょう。
試験で
よく間違えるポイント
○か×かを
考えてから、
「答えを見る」を
押して
確認しましょう。
1
利用者本位とは、
介護職が
利用者のために
最善だと
考えたことを
決めることである。
○ それとも × ?
答えを見る
×
誤りです。
利用者本位とは、
介護職や
施設の
都合ではなく、
利用者の
気持ちや
希望、
生活を
中心に
考えることです。
2
自己決定とは、
利用者が
自分の
生活について
自分で
選び、
決めることである。
○ それとも × ?
答えを見る
○
正しいです。
介護職が
代わりに
決めるのではなく、
本人が
選び、
決めることを
大切にします。
3
利用者の
安全を
守るためであれば、
身体拘束を
自由に
行ってよい。
○ それとも × ?
答えを見る
×
誤りです。
身体拘束は、
利用者の
自由や
尊厳に
大きく
関係します。
「安全のため」という
理由だけで、
安易に
行ってはいけません。
4
事例研究で
利用者の
情報を
使うときは、
本人への
説明や
同意は
必要ない。
○ それとも × ?
答えを見る
×
誤りです。
事例研究でも、
利用者の
権利や
個人情報を
守る
必要があります。
目的などを
説明し、
同意を
得ることが
大切です。
5
他の
人が
書いた
資料を
研究で
使ったときは、
引用元を
明らかにする。
○ それとも × ?
答えを見る
○
正しいです。
他の
人の
文章や
資料を
使ったときは、
どこから
引用したのかを
示します。
6
介護過程の
目的は、
介護福祉職の
職業倫理を
高めることである。
○ それとも × ?
答えを見る
×
誤りです。
職業倫理を
高めることは
大切ですが、
介護過程そのものの
目的ではありません。
覚えるポイント:
利用者本位、
自己決定、
尊厳、
個人情報、
倫理的配慮などの
意味を
理解して
答えられるようにしましょう。
まとめ
介護福祉職の
職業倫理について、
試験で
大切なポイントを
確認しましょう。
✓
職業倫理とは、
専門職として
大切にする
考え方や
行動の
基準
です。
✓
介護福祉職は、
利用者本位・
自己決定・
自立支援
を大切にします。
✓
専門職として、
知識や
技術を
学び続け、
提供した
介護に
責任を
持つ
ことが求められます。
✓
利用者の
プライバシーや
個人情報を
守る
ことも、
大切な
職業倫理です。
✓
利用者を
支えるために、
福祉・
医療・
保健などの
専門職と
連携・
協力する
ことが大切です。
✓
事例研究や
発表では、
本人への
説明と
同意、
個人情報の
保護などの
倫理的配慮
が必要です。
✓
職業倫理を
高めることは
大切ですが、
介護過程そのものの
目的ではありません。
試験のポイント:
職業倫理の
問題では、
言葉を
覚えるだけではなく、
「この行動は
利用者の
尊厳や
権利を
守っているか」
と考えることが
大切です。
利用者本位、
自己決定、
自立支援、
プライバシー、
倫理的配慮などの
意味を
一緒に
確認しておきましょう。
実際の
過去問に
挑戦しよう
職業倫理の
基本がわかったら、
実際に
出題された
介護福祉士国家試験の
問題に
挑戦してみましょう。