解答と解説
問題120
現在の病気とその症状から考えられる二次障害を考える問題です。
答えは、「5」です。
まず、Eさんの脳性麻痺について、確認しましょう。
脳性麻痺とは、受精から出生直後(生後4週まで)の脳の損傷により、運動機能の障害が生じる病気です。
手足がこわばって硬くなる「痙直型」と、不随意運動が生じる「アテトーゼ型」、バランスがとりにくい「失調型」、「混合型」に分類されます。
Eさんの場合、不随意運動があるとの記述から、アテトーゼ型と考えられます。
不随意運動とは、自分の意思とは関係なく、体が勝手に動いてしまうことです。
Eさんの食事中の様子で注目するのは、次の部分です。
首を振る動作が見られる。食事中は不随意運動が強い。
1 変形性股関節症(coxarthrosis)
【×】誤りです。変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減り、痛みや関節の動きが悪くなる病気です。主に老化が原因です。首を振る動作とは関係がありません。
2 廃用症候群(disuse syndrome)
【×】誤りです。廃用症候群は、身体の活動性が落ちた状態が続くことで、身体的・精神的に起こる、さまざまな悪影響の総称です。Eさんは油絵を描くことを楽しみにしているなど、活動状態は落ちていませんので適切ではありません。
3 起立性低血圧(orthostatic hypotension)
【×】誤りです。起立性低血圧は、立ち上がると急に血圧が下がり、めまいやふらつきを感じる症状です。めまいなどの記述は事例文にはないため、適切ではありません。
4 脊柱側弯症(scoliosis)
【×】誤りです。脊柱側弯症は、背骨が左右に曲がってしまう疾患です。主に成長期に発症し、姿勢の変化や背中の痛みを伴うことがあります。Eさんの首を振る動作や痛みの二次障害としては適切ではありません。
5 頚椎症性脊髄症(cervical spondylotic myelopathy)
【○】正しい選択肢です。頚椎症性脊髄症は、首の骨(頚椎)が加齢などで変形し、脊髄を圧迫して起こる病気です。手足のしびれや筋力低下、歩行困難などが現れ、進行すると日常生活に支障をきたすことがあります。Eさんは、首に大きな負担がかかっていると考えられるため、年齢からも二次障害が引き起こされる可能性が高いと考えます。
#脳性麻痺 #アテトーゼ型 #不随意運動