国家試験の問題を解くために必要な言葉をしっかりおさえましょう。
言葉の解説:「留意」「注意」
「留意」と「注意」は、言葉も似ているし、同じように使われることも多いため、ニュアンスの違いがわかっているようで、わかっていない人も多いのではないでしょうか。
それでも、試験ではそれぞれ使い分けて出されます。
「留意」と「注意」の違いについて、説明をします。
留意
「留意」とは、ある物事に心をとどめて、気をつけること。
「とどめる」は「とめる」という意味です。
「留意点」とは、「心にとどめて、気をつける箇所(こと)」という意味です。
注意
「注意」とは、気をつけること、気を配ること。
「注意点」は、「気をつける箇所(こと)、気を配る箇所(こと)」という意味です。
「留意点」と「注意点」はどう違う?
「留意点」と「注意点」はどう違うのか見ていきましょう。
違いのポイントは、「気をつける度合い」の強さです。
「留意点」は「心にとどめておいてほしい点」ですが、「注意点」は「十分に気をつけてほしい点」というニュアンスで使われることが多いです。
緊急度や危険度が高かったり、見落としては困る箇所(こと)には、「注意点」が使われるということですね。
実際の問題を見てみよう
第31回(問題64)
介護計画を実施するときの留意点として、最も適切なものを1つ選びなさい。
「心にとどめておく点」ということですね。
設問でよく使われるので、覚えておきましょう。
介護計画とは、ケアプランを意識して、その目標を達成するために立案される、より具体的・より専門的な計画書のことです。
実施するときは、利用者の変化や反応(しぐさや顔色)をよく観察して、いつもとは違う変化に気づけるようにしましょう。
第31回(問題124)
Jさんは、K君の支援計画作成に責任を持つ職員に計画作成の注意点などを聞きたいと、実習指導者に相談した。
支援計画作成のときに「落としては困る点」という意味ですね。
第32回(問題125)
Dさんは、「ここ数日、朝だけでなく1日中、何もしないのに手足の痛みが強くなってきた」と訴えている。
日常生活で、Dさんが当面留意すべきこととして、最も適切なものを1つ選びなさい。
当面は「今のところ、現時点」ではという意味です。
「留意すべき」という使い方ですので、
「気にとどめておかなければならない」という意味ですね。
第32回(問題53)
肉入りのカレーを常温で保存し、翌日、加熱調理したときの食中毒の原因菌として、最も注意しなければならないものを1つ選びなさい。
「最も注意しなければならないもの」という使われ方ですので、
選択肢の中で「1番気にしなければならないもの」を選ぶという意味ですね。
ちなみに、肉は「ウエルシュ菌」を持っていることが多く、カレーやシチューの煮込み料理は菌が増えやすいです。この菌は、熱に強く、加熱しても死滅しないことも多いので、注意しましょう。
第33回(問題112・選択肢)
入浴時は、胃ろう部を湯につけないように注意する。
「絶対にしないようにする」を言いたいときに「注意」を使います。
胃ろう部は、湯につけても問題はないので、選択肢としては✖です。
第33回(問題31)
利用者と家族の意向が対立する場面で、介護福祉職が両者の意向を調整するときの留意点として、最も適切なものを1つ選びなさい。
上でも説明した「心にとどめておく点」ということですね。
ちなみに、利用者と家族の意向が対立する場面では、介護福祉職は中立の立場で、両方の意見をしっかり聞く必要があります。
そのときは、両者が自分の気持ちを話せるような気配りもしましょうね。
また、自分だけで解決するのではなく、他職種と協力して解決することも必要です。