障害の理解
問題49
次のうち,ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health:国際生活機能分類)の社会(人生)レベルに該当するものとして,正しいものを1つ選びなさい。
1 心身機能・身体構造
2 活動
3 参加
4 機能障害
5 活動制限
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題49(解答と解説)
ICF(国際生活機能分類)に関する問題です。
答えは、「3」です。
ICF(国際生活機能分類)は、心や体の状態だけでなく、生活のしやすさや社会との関わりをふくめた生活機能モデルで、人の健康や障害をとらえる国際的な考え方です。
生活機能モデルは、ICFの中心的な考え方で、人が「生きる」ことを次の3つのレベルでみていきます。
- 心身機能・身体構造(生物レベル・生命レベル)
- 活動(個人レベル・生活レベル)
- 参加(社会レベル・人生レベル)
社会(人生)レベルとは、その人が家庭や地域、職場などの社会生活にどれだけ関われているかを示します。
1 心身機能・身体構造
【×】誤りです。心身機能・身体構造は、生物レベル・生命レベルに該当します。
2 活動
【×】誤りです。活動は、個人レベル・生活レベルに該当します。
3 参加
4 機能障害
【×】誤りです。機能障害は、心身機能・身体構造(生物レベル・生命レベル)に該当します。
5 活動制限
【×】誤りです。活動制限は、活動(個人レベル・生活レベル)に該当します。
#ICF #国際生活機能分類
問題50
次の記述のうち,障害者のエンパワメントに関するものとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 障害のある人が障害のない人と同等に生活し,活動する社会を目指す。
2 専門職が主導し,障害のある人は受動的に支援を受ける。
3 障害のある人が自らの能力や長所に気づき,課題に対応する。
4 障害のある人が,主体性や人権が守られないことに耐える。
5 障害のある人が,医学的リハビリテーションを受ける。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題50(解答と解説)
障害者のエンパワメントに関する問題です。
答えは、「3」です。
エンパワメントとは、そのが持っている力を発揮し、自分の力で問題や課題を解決できるようにすることです。
1 障害のある人が障害のない人と同等に生活し,活動する社会を目指す。
【×】誤りです。ノーマライゼーションに関する記述です。
2 専門職が主導し,障害のある人は受動的に支援を受ける。
3 障害のある人が自らの能力や長所に気づき,課題に対応する。
4 障害のある人が,主体性や人権が守られないことに耐える。
5 障害のある人が,医学的リハビリテーションを受ける。
【×】誤りです。機能訓練に関する記述です。
問題51
次のうち,クローン病(Crohn disease)にみられる特徴的な症状として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 視力低下
2 栄養障害
3 咳嗽
4 運動失調
5 関節痛
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題51(解答と解説)
クローン病に関する問題です。
答えは、「2」です。
クローン病は、口から肛門までの消化管に炎症が起こる病気で、特に小腸や大腸に多くみられる難病です。腹痛や下痢が続き、若い人に多く発症します。
1 視力低下
【×】誤りです。クローン病の症状ではありません。
2 栄養障害
【○】正しい選択肢です。消化管の炎症で、小腸から十分に栄養を吸収できなくなるため、栄養障害がみられます。
3 咳嗽
【×】誤りです。咳嗽とは、のどや気管に入った異物を外に出すための、体の自然な反応のことです。クローン病の症状ではありません。
4 運動失調
【×】誤りです。運動失調とは、筋力は低下していないのに、手や足、体の動きがうまくコントロールできなくなる状態のことです。クローン病の症状ではありません。
5 関節痛
【×】誤りです。クローン病の症状ではありません。
問題52
次の記述のうち,遂行機能障害の特徴として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 些細なことですぐに興奮して怒鳴る。
2 新しい知識を覚えることが困難である。
3 ぼんやりして周囲に注意を向け続けることが困難である。
4 行動を計画して実行することが困難である。
5 言葉の表出や理解が困難である。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題52(解答と解説)
遂行機能障害に関する問題です。
答えは、「4」です。
遂行機能障害とは、日常生活において順序立てて、物事を進めることが難しい障害です。
1 些細なことですぐに興奮して怒鳴る。
【×】誤りです。些細なこととは、「ちょっとしたこと」という意味です。感情のコントロールなどがむずかしい、社会的行動障害に関する記述です。
2 新しい知識を覚えることが困難である。
【×】誤りです。記憶障害に関する記述です。
3 ぼんやりして周囲に注意を向け続けることが困難である。
【×】誤りです。注意障害に関する記述です。
4 行動を計画して実行することが困難である。
5 言葉の表出や理解が困難である。
【×】誤りです。失語症に関する記述です。
問題53
視覚障害の特徴と視覚障害者の生活支援に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ロービジョンは,視覚情報をまったく得られない状態である。
2 中途視覚障害者は,先天性の障害に比べて障害を受容しやすい。
3 白杖には,視覚に障害があることを周囲に知らせる役目がある。
4 視覚障害を補うために,ペットの犬と一緒に外出する。
5 視覚障害者は,ガイドヘルパーの利用はできない。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題53(解答と解説)
視覚障害者に関する問題です。
答えは、「3」です。
1 ロービジョンは,視覚情報をまったく得られない状態である。
【×】誤りです。ロービジョンとは、眼鏡や手術をしても視力や視野が十分に回復しない状態の視覚障害です。ただし、全盲ではありません。全盲ではないため、視覚情報をまったく得られないとはいえません。
2 中途視覚障害者は,先天性の障害に比べて障害を受容しやすい。
【×】誤りです。中途視覚障害者は、障害を受容するのに時間がかかります。
3 白杖には,視覚に障害があることを周囲に知らせる役目がある。
【○】正しい選択肢です。白杖とは、視覚障害者が使用する杖です。歩行時の障害物の確認や、視覚に障害があることを周囲に知らせる役目があります。
4 視覚障害を補うために,ペットの犬と一緒に外出する。
【×】誤りです。視覚障害者が利用している犬はペットではなく、特別な訓練を受けた犬(盲導犬)です。
5 視覚障害者は,ガイドヘルパーの利用はできない。
【×】誤りです。ガイドヘルパーとは、移動介護従事者のことで、障害者の移動をサポートする職業です。視覚障害者は同行援護を利用することができます。
#視覚障害者 #盲導犬
問題54
Aさん(76歳,女性)は,パーキンソン病(Parkinson disease)と診断され,日常生活動作(Activities of Daily Living:ADL)は,車いすやベッド上で全介助である。最近,食事に時間がかかって嫌がるようになり,かすれ声が目立つようになった。
次のうち,現在のAさんに対して介護福祉職が留意すべきこととして,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 安静時振戦
2 筋固縮
3 仮面様顔貌
4 誤嚥
5 便秘
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題54(解答と解説)
パーキンソン病に関する問題です。
答えは、「4」です。
パーキンソン病は、脳内の神経伝達物質ドーパミンが不足することで、手足の震えや筋肉のこわばり、動作の遅れなどが起こる神経変性疾患です。
パーキンソン病の代表的な症状については、問題に出やすいので、しっかりと整理しましょう。
1 安静時振戦
【×】誤りです。安静時振戦とは、安静時でも四肢が本人の意思に反して震えるように動いてしまうことです。パーキンソン病の人によく見られる症状ですが、Aさんの今の課題とは直接関係はないため、適切ではありません。
2 筋固縮
【×】誤りです。筋固縮とは、筋肉がこわばって動かしにくくなる状態です。パーキンソン病の人によく見られる症状ですが、Aさんの今の課題は食事に関することですので適切ではありません。
3 仮面様顔貌
【×】誤りです。仮面様顔貌とは、顔の表情が少なくなり、まるで仮面をつけているように見える状態のことです。パーキンソン病の人によく見られる症状ですが、Aさんの今の課題とは直接関係はないため、適切ではありません。
4 誤嚥
【○】正しい選択肢です。「食事に時間がかかって嫌がる」という記述から、嚥下機能の低下を、また「かすれ声が目立つ」という記述から、声帯を動かす神経障害が考えられ、誤嚥について最も留意する必要があります。
5 便秘
【×】誤りです。Aさんの今の課題は食事に関することですので適切ではありません。
問題55
聴覚障害者の特徴や支援の方法に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 要約筆記によって意思疎通を補う。
2 軽度の聴覚障害を「ろう」という。
3 フラッシュベルは周囲の音を増幅させて伝える。
4 手話は意思の伝達に役立たない。
5 両耳の聴力レベルが40dBで身体障害者手帳が交付される。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題55(解答と解説)
聴覚障害者に関する問題です。
答えは、「1」です。
1 要約筆記によって意思疎通を補う。
【○】正しい選択肢です。要約筆記とは、話されている内容を短くまとめてし文字として伝える手段です。聴覚障害者への情報保障手段の一つです。
2 軽度の聴覚障害を「ろう」という。
【×】誤りです。ろう者は、重度の聴覚障害をいいます。
3 フラッシュベルは周囲の音を増幅させて伝える。
【×】誤りです。フラッシュベルとは、電話の着信を光で知らせる機器で、音を増幅させる機能はありません。
4 手話は意思の伝達に役立たない。
【×】誤りです。声を使わずに、手や指、表情などで気持ちや言葉を伝える方法です。意思の伝達に役立ちます。
5 両耳の聴力レベルが40dBで身体障害者手帳が交付される。
【×】誤りです。両耳の聴力レベルが70dB以上で身体障害者手帳が交付されます。
問題56
Bさん(24歳,男性)は,母親と二人暮らしで,小学生のときに注意欠陥多動性障害と疑われていた。Bさんは,最近になって昼夜を問わずゲームを続け,朝起きられずにアルバイトを無断で休むことが増えた。
次のうち,Bさんの母親が相談する機関として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ハローワーク(公共職業安定所)
2 難病情報センター
3 認知症カフェ
4 放課後等デイサービス
5 発達障害者支援センター
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題56(解答と解説)
障害の疑いのある人を家族に持つ人の相談先に関する問題です。
答えは、「5」です。
注意欠陥多動性障害とは、注意欠陥多動性障害(ADHD)は、注意力の欠如、多動性、衝動性が特徴の発達障害です。
落ち着きがない、じっとしているのが難しいなど日常生活に支障をきたす行動が見られます。
Bさんの場合は、疑いとはいえ、発達障害に関連する行動が見られるため、専門的な支援を受ける必要があります。
1 ハローワーク(公共職業安定所)
【×】誤りです。ハローワークは、就職支援や職業訓練を行う機関です。発達障害専門の相談窓口ではありません。
2 難病情報センター
【×】誤りです。難病情報センターは、難病に関する様々な情報をわかりやすく提供する機関です。注意欠陥多動性障害は、難病ではありません。
3 認知症カフェ
【×】誤りです。認知症カフェは、認知症の人や家族、地域の人が気軽に集まって交流や相談ができる場所です。
4 放課後等デイサービス
【×】誤りです。放課後等デイサービスは、障害のある子ども(6歳~18歳)が放課後や休日に通い、学習や生活の支援を受けられる機関です。Bさんは24歳ですので、対象外です。
5 発達障害者支援センター
【○】正しい選択肢です。発達障害者支援センターは、自閉症や学習障害など発達の障害のある人とその家族の総合的支援を行う機関で、生活や仕事のサポートを行います。Bさんは発達障害が疑われているので、相談先として最も適切です。
問題57
次の記述のうち,「障害者差別解消法」の合理的配慮に沿った対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 車いすの身体障害者から,陳列棚にある商品を見せてほしいと言われたが,口頭で商品を説明した。
2 聴覚障害者の手話による注文がわからなかったので,最も人気のあるメニューを出した。
3 盲導犬を連れた視覚障害者が来店したが,動物嫌いの客から苦情を言われると思い,犬は店の中に入れないように頼んだ。
4 役所に相談に来た精神障害者から,多くの人の中だと不安になると言われたため,帰宅してもらった。
5 知的障害者から申し出があったので,会議に参加するための資料をわかりやすい言葉に直して,事前に口頭で説明した。
(注) 「障害者差別解消法」とは,「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」のことである。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題57(解答と解説)
合理的配慮に関する問題です。
答えは、「5」です。
合理的配慮とは、障害があることによって生じる困りごとの解消や軽減に向けて、社会全体で必要な対応をしていこうという考え方のことです。
2006年の「障害者の権利に関する条約」で、国際条約では初めて「合理的配慮」の考え方が取り上げられました。
日本では、2016年施行の「障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)」で、障害者の性別、年齢および障害の状態に応じて合理的配慮をしなければならないとされています。
1 車いすの身体障害者から,陳列棚にある商品を見せてほしいと言われたが,口頭で商品を説明した。
【×】誤りです。「陳列棚にある商品を見せてほしい」という要望ですので、口頭での説明では不十分です。商品棚から商品をとって、見れるようにする配慮が必要です。
2 聴覚障害者の手話による注文がわからなかったので,最も人気のあるメニューを出した。
【×】誤りです。注文がわからないからといって、相手の意思を確認せず商品を提供することは配慮とはいえません。メニューを指で指して確認したり、文字で書くなどの配慮が必要です。
3 盲導犬を連れた視覚障害者が来店したが,動物嫌いの客から苦情を言われると思い,犬は店の中に入れないように頼んだ。
【×】誤りです。盲導犬は目が不自由な人が安全に移動することができるようにサポートする犬です。盲導犬は飲食店を含む多く場所で同伴が認められていて、多くの人が利用する施設では、原則、入店拒否することはできません。動物嫌いの客と離して誘導するなどの配慮をします。
4 役所に相談に来た精神障害者から,多くの人の中だと不安になると言われたため,帰宅してもらった。
【×】誤りです。相談に来た人に帰宅をしてもらうだけでは、何の解決にもなりません。人があまりいない場所や個室に案内するなどの配慮が必要です。
5 知的障害者から申し出があったので,会議に参加するための資料をわかりやすい言葉に直して,事前に口頭で説明した。
問題58
レスパイトケアの望ましいあり方に関する記述として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 障害者はサービスを利用せずに生活するべきである。
2 利用中,家族は自宅で休まなくてはならない。
3 家族が障害者を預けて旅行に行くことは認められない。
4 家族の休息が目的なので,障害者の施設利用は宿泊に限定される。
5 家族が休息している間も,障害者が自分らしく過ごせるようにする。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題58(解答と解説)
レスパイトケアに関する問題です。
答えは、「5」です。
レスパイトケアとは、介護をしている家族などが一時的に休めるように、代わりに介護を行うサービスのことです。介護者の心身のリフレッシュし、介護を続けられるよう支援することが目的です。
1 障害者はサービスを利用せずに生活するべきである。
【×】誤りです。負担を軽減し、介護を続けることが目的なので、必要に応じてサービスを利用しながら生活することが望ましいといえます。
2 利用中,家族は自宅で休まなくてはならない。
【×】誤りです。介護者の心身のリフレッシュできるようにするためのものなので、利用中の家族の行動は制限されません。
3 家族が障害者を預けて旅行に行くことは認められない。
【×】誤りです。介護者の心身のリフレッシュできるようにするためのものなので、利用中の家族の行動は制限されません。
4 家族の休息が目的なので,障害者の施設利用は宿泊に限定される。
【×】誤りです。介護者の心身のリフレッシュできるようにするためのものなので、ショートステイのような宿泊だけでなく、短時間のデイサービスもレスパイトケアの1つです。
5 家族が休息している間も,障害者が自分らしく過ごせるようにする。
【○】正しい選択肢です。レスパイトケアは家族支援だけではなく、障害者本人も自分らしく過ごせるようにすることが望ましいといえます。
科目別過去問|7.障害の理解
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