人間の尊厳と自立
問題2
Aさん(83歳,女性,要介護3 )は,脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で左片麻痺があり,介護老人福祉施設で生活している。家族から,「できることは自分で行ってほしい」と希望があり,Aさんは自室から食堂まで車いすで自走することを日課としている。
1週間前から,介護福祉士養成施設の学生がAさんのフロアで実習を開始した。数日前からAさんは実習生に,「今日は腕が痛いので,食堂まで車いすを押してください」と依頼するようになった。悩んだ実習生は,実習指導者に相談をした。
実習生に対する実習指導者の最初の助言として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 「Aさんの腕は痛くないので,気にしないでください」
2 「どのようなときも,Aさん自身で行ってもらうことが必要です」
3 「ご家族から自分で行うように,言われています」
4 「それは自立につながらないので,車いすを押さないでください」
5 「Aさんが依頼する理由を,まず考えてみることが大切です」
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
解答と解説
問題2
実習生への指導方法に関する問題です。
答えは、「5」です。
介護福祉士になるための学校では、勉強の中に「実習」が含まれています。実習は、必ずしなければなりません。
実習をする場所は、介護施設などです。そこで、実習生に教える人を「介護福祉士実習指導者」といいます。
「介護福祉士実習指導者」になるためには、次の2つの条件があります。
- 介護福祉士の資格をとってから、3年以上働いたことがあること
- 「介護福祉士実習指導者講習会」を修了したこと
今回の助言は、車いすを自分で動かしていた人が、最近になって実習生に助けをお願いするようになったことに対するものです。
1 「Aさんの腕は痛くないので,気にしないでください」
【×】誤りです。Aさんの「腕が痛いから」という声に対し、確認もせずに気にしなくていいと助言をすることは適切ではありません。利用者の変化の背景を考えるように助言をします。
2 「どのようなときも,Aさん自身で行ってもらうことが必要です」
【×】誤りです。自立支援は介護福祉職として大切なことですが、Aさんの変化やその背景を理解することが求められており、「どのようなときも」と柔軟性に欠ける判断は適切ではありません。
3 「ご家族から自分で行うように,言われています」
【×】誤りです。ご家族の希望も大切ですが、利用者本人であるAさんの変化やその背景を理解することが求められており、一方的にAさんの要求を拒否をすることは適切ではありません。
4 「それは自立につながらないので,車いすを押さないでください」
【×】誤りです。自立支援は介護福祉職として大切なことですが、Aさんの変化やその背景を理解することが求められており、一方的にAさんの要求を拒否をすることは適切ではありません。
5 「Aさんが依頼する理由を,まず考えてみることが大切です」
【○】正しい選択肢です。Aさんの変化やその背景を考えることを促す、適切な助言です。