人間関係とコミュニケーション
問題3
U介護老人福祉施設では,利用者の介護計画を担当の介護福祉職が作成している。このため,利用者の個別の介護目標を,介護福祉職のチーム全員で共有することが課題になっている。
この課題を解決するための取り組みとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 管理職がチーム全体に注意喚起して,集団規範を形成する。
2 現場経験の長い介護福祉職の意見を優先して,同調行動を促す。
3 チームメンバーの懇談会を実施して,内集団バイアスを強化する。
4 チームメンバー間の集団圧力を利用して,多数派の意見に統一する。
5 担当以外のチームメンバーもカンファレンス(conference)に参加して,集団凝集性を高める。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題3(解答と解説)
チーム内での情報共有に関する問題です。
答えは、「5」です。
1 管理職がチーム全体に注意喚起して,集団規範を形成する。
【×】誤りです。集団規範とは、組織などの集団の中で共有される価値や行動の判断基準のことです。トラブルなど未然に防ぐための注意喚起は必要ですが、今回は利用者の介護目標に関する共有のあり方が問われてるため、適切ではありません。
2 現場経験の長い介護福祉職の意見を優先して,同調行動を促す。
【×】誤りです。同調行動とは、周りの意見に行動を合わせて、同じことをすることです。現場経験の長い介護福祉職に意見を合わせることで、安心感が得られやすいですが、主体性のある関わりが持ちにくくり、組織として成長しにくくなります。
3 チームメンバーの懇談会を実施して,内集団バイアスを強化する。
【×】誤りです。内集団バイアスとは、自分のチームに対してはいい態度を示し、自分以外のチームにはいい態度を示さないことです。物事を公平に見ることができなくなるため、内集団バイアスを強化することは適切ではありません。
4 チームメンバー間の集団圧力を利用して,多数派の意見に統一する。
【×】誤りです。人間関係において「圧力」とは、マイナスの意味で使われることが多い言葉です。圧力は、ストレスを生みます。圧力を利用した意見統一は適切ではありません。
5 担当以外のチームメンバーもカンファレンス(conference)に参加して,集団凝集性を高める。
【○】正しい選択肢です。集団凝集性とは、組織やチームのメンバー同士が協力すること、一体感のことを言います。担当以外のカンファレンスにも参加をすることで、組織の一員という気持ち(所属意識)が高まり、仕事への責任感が生まれやすくなったり、コミュニケーションが活発になりやすくなります。
問題4
Bさん(90歳,女性,要介護3 )は,介護老人福祉施設に入所している。入浴日に,担当の介護福祉職が居室を訪問し,「Bさん,今日はお風呂の日です。時間は午後3時からです」と伝えた。しかし,Bさんは言っていることがわからなかったようで,「はい,何ですか」と困った様子で言った。
このときの,介護福祉職の準言語を活用した対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 強い口調で伝えた。
2 抑揚をつけずに伝えた。
3 大きな声でゆっくり伝えた。
4 急かすように伝えた。
5 早口で伝えた。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題4(解答と解説)
準言語コミュニケーションに関する問題です。
答えは、「3」です。
準言語とは、言葉を発するときの、声のトーンや話すスピード、強弱、間のとり方、沈黙などのことをいいます。
コミュニケーションの際、話す言葉(言語的チャンネル)で伝わる情報は7%程度と言われています。
言葉以外の非言語的チャンネルをうまく活用して、良好な関係性をつくれるようにしましょう。
1 強い口調で伝えた。
【×】誤りです。強い口調は、相手に圧力を与えます。相手がストレスを感じてしまいますので、適切ではありません。
2 抑揚をつけずに伝えた。
【×】誤りです。抑揚とは、声の強さや速さ、高さなどを変えることで話にリズムをつけることです。抑揚がない話し方は、無関心だと受け取られる可能性があり、適切ではありません。
3 大きな声でゆっくり伝えた。
【○】正しい選択肢です。声の大きさ、スピードを相手にあわせて変えることは、準言語コミュニケーションとして効果があります。
4 急かすように伝えた。
【×】誤りです。危険なときなど、緊急性があるときに効果のある準言語です。この問題では適切ではありません。
5 早口で伝えた。
【×】誤りです。Bさんの返答からも、介護福祉職の言っていることが理解できていないことがわかります。早口で伝えるのは、適切ではありません。
#準言語 #コミュニケーション #非言語チャンネル
問題5
V介護老人福祉施設では,感染症が流行したために,緊急的な介護体制で事業を継続することになった。さらに労務管理を担当する職員からは,介護福祉職の精神的健康を守ることを目的とした組織的なマネジメントに取り組む必要性について提案があった。
次の記述のうち,このマネジメントに該当するものとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 感染防止対策を強化する。
2 多職種チームでの連携を強化する。
3 利用者のストレスをコントロールする。
4 介護福祉職の燃え尽き症候群(バーンアウト(burnout))を防止する。
5 利用者家族の面会方法を見直す。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題5(解答と解説)
介護福祉職の精神的健康を守ることを目的としたマネジメントに関する問題です。
答えは、「4」です。
マネジメントは目的により、方法が異なります。
今回は「介護福祉職の精神的健康を守ること」を目的にしたマネジメントを問われていることを頭に入れて、選択肢を確認しましょう。
1 感染防止対策を強化する。
【×】誤りです。すでに緊急的な介護体制で事業を継続する段階ですので、感染防止対策は十分に対応されていると考えられます。この段階で、感染防止対策を強化することは、精神的な負担をかけてしまうため適切ではありません。
2 多職種チームでの連携を強化する。
【×】誤りです。多職種チームでの連携を強化することは、介護福祉職の精神的健康を守ることにつながるマネジメントではありません。
3 利用者のストレスをコントロールする。
【×】誤りです。組織的なマネジメントと利用者のストレスコントロールは別に考えるものであり、適切ではありません。
4 介護福祉職の燃え尽き症候群(バーンアウト(burnout))を防止する。
【○】正しい選択肢です。燃え尽き症候群(バーンアウト)とは、一定の期間に過度の緊張とストレスの下に置かれた場合に発生する、無気力感、疲労感などの症状です。感染症が流行し、介護福祉職は感染が拡大しないように緊張感のもとで業務を行っていること考えられるため、燃え尽き症候群(バーンアウト)を防止するマネジメントが最も適切です。
5 利用者家族の面会方法を見直す。
【×】誤りです。利用者家族の面会方法を見直すことは、一時的なルールの変更であり、組織的なマネジメントに関するものではありません。
#燃え尽き症候群 #バーンアウト
問題6
次のうち,介護老人福祉施設における全体の指揮命令系統を把握するために必要なものとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 組織図
2 勤務表
3 経営理念
4 施設の歴史
5 資格保有者数
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
解答と解説
問題6
組織に関する言葉を確認する問題です。
答えは、「1」です。
指揮命令系統とは、下のイラストのように組織のトップから担当者までの階層において、誰が誰に報告をすればいいのかを明らかにすることが目的です。
問題があったときなど、「誰に対して報告をすればいいのか」「誰に対して責任を負っているのか」などをわかりやすくしたものです。
1 組織図
【○】正しい選択肢です。組織図とは、組織の内部の構造を図式にしたものです。指揮命令系統や、職員の相互関係などが一目でわかるように作られます。
2 勤務表
【×】誤りです。勤務表は、各職員の勤務の予定がわかるように作られるものであり、適切ではありません。
3 経営理念
【×】誤りです。経営理念とは、その会社が何のために存在し、経営をどのような目的で、どのような形で行うのかをわかるようにしたものであり、適切ではありません。
4 施設の歴史
【×】誤りです。施設の歴史は、施設が歩んできた時間の流れであって、指揮命令系統を示すものではありません。
5 資格保有者数
【×】誤りです。資格保有者数は、対外的にサービスのレベルなどを示すことができますが、指揮命令系統とは関係がありません。
#指揮命令系統 #組織図