人間の尊厳と自立
問題1
Aさん(76歳,女性,要支援1)は,一人暮らしである。週1回介護予防通所リハビリテーションを利用しながら,近所の友人たちとの麻雀を楽しみに生活している。最近,膝に痛みを感じ,変形性膝関節症(knee osteoarthritis)と診断された。同時期に友人が入院し,楽しみにしていた麻雀ができなくなった。Aさんは徐々に今後の生活に不安を感じるようになった。ある日,「自宅で暮らし続けたいけど,心配なの…」と介護福祉職に話した。
Aさんに対する介護福祉職の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 要介護認定の申請を勧める。
2 友人のお見舞いを勧める。
3 膝の精密検査を勧める。
4 別の趣味活動の希望を聞く。
5 生活に対する思いを聞く。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題1(解答と解説)
介護福祉職の対応を確認する問題です。
答えは、「5」です。
Aさんの「自宅で暮らし続けたいけど,心配なの…」という発言を、介護福祉職としてどのように受けとめるのか考えていきましょう。
1 要介護認定の申請を勧める。
【×】誤りです。Aさんは、自宅での生活に不安を抱えていますが、介護認定区分を変更するほどの変化は問題文から読み取れませんので、適切ではありません。
2 友人のお見舞いを勧める。
【×】誤りです。友人のお見舞いをしたことで、Aさんの不安が解消されるわけではありませんし、逆に不安になってしまう場合もあります。
3 膝の精密検査を勧める。
【×】誤りです。Aさんが不安に思っていることは、膝の状態ではありません。すでに、診断も受けているので、更に検査を勧めることは適切ではありません。
4 別の趣味活動の希望を聞く。
【×】誤りです。新しい趣味活動を始めることは、Aさんの活力にもつながります。しかし、Aさんの不安解消にはなっていないため、適切ではありません。
5 生活に対する思いを聞く。
【○】正しい選択肢です。まずは、Aさんの不安に思っている部分も含め、生活に対する思いを聞くことが大切です。介護福祉職としての、基本的な姿勢です。
問題2
次の記述のうち,介護を必要とする人の自立についての考え方として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 自立は,他者の支援を受けないことである。
2 精神的自立は,生活の目標をもち,自らが主体となって物事を進めていくことである。
3 社会的自立は,社会的な役割から離れて自由になることである。
4 身体的自立は,介護者の身体的負担を軽減することである。
5 経済的自立は,経済活動や社会活動に参加せずに,生活を営むことである。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題2(解答と解説)
「自立」についての考え方に関する問題です。
答えは、「2」です。
自立の基本的な考え方は、「自己決定に基づいて主体的な生活を営むこと」です。
今回の問題では、『介護を必要とする人の自立』についての考え方が問われています。
1 自立は,他者の支援を受けないことである。
【×】誤りです。他者の支援を受けないことが自立ではありません。介護を必要とする人であっても、自己決定に基づいて主体的な生活を営むことができていれば自立といえます。
2 精神的自立は,生活の目標をもち,自らが主体となって物事を進めていくことである。
3 社会的自立は,社会的な役割から離れて自由になることである。
【×】誤りです。社会的自立とは、介護を必要とする人でも、自己決定に基づいて自分の意思で物事に取り組み、必要な人に頼ることをいいます。
4 身体的自立は,介護者の身体的負担を軽減することである。
【×】誤りです。身体的自立とは、介護を必要とする人でも、身体機能的に自分でできることを自分でできるようにすることです。
5 経済的自立は,経済活動や社会活動に参加せずに,生活を営むことである。
【×】誤りです。経済活動や社会活動に参加する、しないに関わらず,自分の必要とする生活を営む財政的な能力を持ち合わせていることです。