こころとからだのしくみ
問題25
Gさん(79歳,男性)は,介護老人保健施設に入所している。Gさんは普段から食べ物をかきこむように食べる様子がみられ,最近はむせることが多くなった。義歯は使用していない。食事は普通食を摂取している。ある日の昼食時,唐揚げを口の中に入れたあと,喉をつかむようなしぐさをし,苦しそうな表情になった。
Gさんに起きていることとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 心筋梗塞(myocardial infarction)
2 蕁麻疹(urticaria)
3 誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)
4 食中毒(foodborne disease)
5 窒息(choking)
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題25(解答と解説)
食事介助の際に、注意する視点に関する問題です。
答えは、「5」です。
Gさんに起きていることを、事例の中から確認していきましょう。
- 唐揚げ(普通食)を食べたあと
- 喉をつかむようなしぐさ
- 苦しそうな表情
1 心筋梗塞(myocardial infarction)
【×】誤りです。心筋梗塞は、心臓の血流が止まり、心筋が壊死(細胞が死んでしまうこと)する病気です。症状は強い胸の痛み、息切れ、冷汗などです。Gさんは喉をつかむようなしぐさをしているため、心臓ではないと考えます。
2 蕁麻疹(urticaria)
【×】誤りです。蕁麻疹は、皮膚に赤い膨らみや痒みが急に現れるアレルギー反応です。原因は食べ物や薬、ストレスなどです。症状は数時間から数日続きますが、通常は治まります。
Gさんに皮膚の症状は見られていないため、除外します。
3 誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)
【×】誤りです。誤嚥性肺炎は、本来気管に入ってはいけない食べ物や唾液が誤って気管に入ることで起こる肺炎です。症状は咳、発熱、息切れなどです。特に高齢者に多く見られます。
「最近はむせることが多くなった」との記述から、誤嚥に注意することは介護福祉職として大切ですが、Gさんに起きている症状とは一致しないため、除外します。
4 食中毒(foodborne disease)
【×】誤りです。食中毒は、細菌やウイルスが食べ物に付着し、それを食べたり飲んだりすることで、起こる病気です。症状は、腹痛、下痢、吐き気、嘔吐、発熱などです。多くの場合は、数日で治りますが、高齢者は重症になりやすい病気です。
Gさんに、食中毒の症状は見られていないため、除外します。
5 窒息(choking)
【○】正しい選択肢です。窒息とは、食べ物や異物が口や喉につまって呼吸ができなくなり、酸素が体に届かなくなる状態です。症状は呼吸困難、青白い顔色、意識喪失などです。
Gさんは「普段から食べ物をかきこむように食べる様子がみられる」と記述がありました。唐揚げをしっかり噛まずに飲みこんでしまったため、喉につまらせてしまったと考えます。
#誤嚥性肺炎 #窒息 #食中毒 #心筋梗塞
問題26
Hさん(60歳,男性)は,身長170cm,体重120kg である。Hさんは浴槽で入浴しているときに毎回,「お風呂につかると,からだが軽く感じて楽になります」と話す。胸が苦しいなど,ほかの訴えはない。
Hさんが話している内容に関連する入浴の作用として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 静水圧作用
2 温熱作用
3 清潔作用
4 浮力作用
5 代謝作用
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題26(解答と解説)
入浴の作用(効果)に関する問題です。
答えは、「4」です。
入浴には、様々な作用(効果)があります。
特に試験でも問われやすい作用(効果)は、次の3つです。
- 温熱作用(効果)
- 浮力作用(効果)
- 静水圧作用(効果)
この問題のように、事例からその作用(効果)を聞かれることが多いので、言葉を覚えるだけでなく、具体的なイメージができるようにしましょう。
今回は「お風呂につかると,からだが軽く感じて楽になります」の話に当てはまる作用(効果)を選びます。
1 静水圧作用
【×】誤りです。静水圧作用は、水中で、水面からの深さに応じて身体に加わる水の圧力のことをいいます。これにより、血流が促進され、下肢のむくみが改善される効果があります。
2 温熱作用
【×】誤りです。温熱作用は、お湯の温かさが身体を温め、血行を良くすることです。これにより、副交感神経が働いて、筋肉の緊張がほぐれ、疲れやストレスが和らぎます。
3 清潔作用
【×】誤りです。清潔作用は、身体の汚れや汗を洗い流し、皮膚を清潔に保つことです。これにより、肌の健康が保たれ、感染症の予防にもなります。
4 浮力作用
【○】正しい選択肢です。水の浮力がからだを軽くし、関節や筋肉への負担を減らすことです。これにより、リラックスでき、痛みや疲れが和らぎます。
Hさんの「からだが軽く感じて楽になる」というのは、この浮力作用です。
5 代謝作用
【×】誤りです。代謝作用は、温かいお湯が体温を上げ、新陳代謝を活発にすることです。これにより、老廃物が排出されやすくなり、疲労回復や健康増進に役立ちます。
#入浴 #浮力作用 #静水圧作用 #温熱作用
問題27
男性に比べて女性に尿路感染症(urinary tract infection)が起こりやすい要因として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 子宮の圧迫がある。
2 尿道が短く直線的である。
3 腹部の筋力が弱い。
4 女性ホルモンの作用がある。
5 尿道括約筋が弛緩している。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題27(解答と解説)
尿路感染症に関する問題です。
答えは、「2」です。
泌尿器について、イラストで確認しましょう。
男性と女性の違いなどもイラストを見ると、よくわかると思います。
尿路感染症は、尿道口から菌が入り、尿道や膀胱などの尿路に細菌が感染する病気です。尿道口から菌が入り、少しずつ感染が広がっていきます。症状は頻尿、排尿時の痛み、尿混濁(尿が濁っている状態)、発熱などです。
1 子宮の圧迫がある。
【×】誤りです。子宮の圧迫がは、尿路感染症の要因ではありません。
2 尿道が短く直線的である。
【○】正しい選択肢です。女性の尿道は3~4㎝程度、男性の尿道は15~21㎝程度と言われています。尿道口からの長さが短いと、感染の広がりも早くなります。
3 腹部の筋力が弱い。
【×】誤りです。腹部の筋力が弱いことは、尿路感染症の要因ではありません。
4 女性ホルモンの作用がある。
【×】誤りです。女性ホルモンの作用は、尿路感染症の要因にはなりません。
5 尿道括約筋が弛緩している。
【×】誤りです。尿道括約筋とは尿の流れを調節する筋肉です。弛緩する(ゆるむ)と尿が通過します。尿路感染症とは関係がありません。
#泌尿器 #尿路感染症
問題28
次のうち,眠りが浅くなる原因として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 抗不安薬
2 就寝前の飲酒
3 抗アレルギー薬
4 抗うつ薬
5 足浴
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題28(解答と解説)
睡眠に関する問題です。
答えは、「2」です。
1 抗不安薬
【×】誤りです。抗不安薬は、不安や緊張を和らげる薬です。眠くなる作用があります。
2 就寝前の飲酒
【○】正しい選択肢です。飲酒はリラックス効果がありますが、体内でアルコールを分解するときに出るアセトアルデヒドの作用で深い睡眠を妨げます。そのため、夜中に目が覚めやすくなります。
3 抗アレルギー薬
【×】誤りです。抗アレルギー薬はアレルギー症状を抑える薬です。眠くなる作用があります。
4 抗うつ薬
【×】誤りです。抗うつ薬はうつ病の症状を改善する薬です。眠くなる作用があります。
5 足浴
【×】誤りです。足浴は足を温め血行を良くし、リラックス効果を高めます。寝つきがよくなり、深い睡眠が促されます。
問題29
概日リズム睡眠障害(circadian rhythm sleep disorder)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 早朝に目が覚める。
2 睡眠中に下肢が勝手にピクピクと動いてしまう。
3 睡眠中に呼吸が止まる。
4 睡眠中に突然大声を出したり身体を動かしたりする。
5 夕方に強い眠気を感じて就寝し,深夜に覚醒してしまう。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題29(解答と解説)
概日リズム睡眠障害に関する問題です。
答えは、「5」です。
概日リズム睡眠障害は、体内時計の乱れで睡眠パターンがずれる病気です。症状は不眠や日中の過剰な眠気で、治療には適切な時間に日光を浴びるなど、生活リズムの調整が必要です。
1 早朝に目が覚める。
【×】誤りです。早朝に目が覚め、それ以降眠れなくなる症状が続くようであれば「早朝覚醒」を疑います。不眠症状の1つです。
2 睡眠中に下肢が勝手にピクピクと動いてしまう。
【×】誤りです。睡眠中に下肢が勝手にピクピクと動いてしまうのは、周期性四肢運動障害(PLMD)です。これにより睡眠が妨げられ、原因もよく分からず夜中に何度も起きてしまい、昼間に眠気が襲ってくる病気です。
3 睡眠中に呼吸が止まる。
【×】誤りです。睡眠中に呼吸が止まるのは、睡眠時無呼吸症候群の症状です。肥満体型の男性に多いと言われています。
4 睡眠中に突然大声を出したり身体を動かしたりする。
【×】誤りです。睡眠中に突然大声を出したり身体を動かしたりするのは、睡眠時驚愕症です。子どもによく見られ、成長とともに改善することが多いです。
5 夕方に強い眠気を感じて就寝し,深夜に覚醒してしまう。
【○】正しい選択肢です。体内時計が乱れており、本来寝る時間に覚醒してしまうとあるため、概日リズム睡眠障害の記述です。
問題30
鎮痛薬としてモルヒネを使用している利用者に,医療職と連携した介護を実践するときに留意すべき観察点として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 不眠
2 下痢
3 脈拍
4 呼吸
5 体温
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題30(解答と解説)
薬を服用している利用者の観察点に関する問題です。
答えは、「4」です。
この問題では、鎮痛薬である「モルヒネ」を服用している利用者に関する観察点です。
鎮痛薬とは、身体の痛みを和らげる作用のある薬です。
モルヒネとは、強い痛みを和らげる鎮痛薬で、手術後やがんなどの痛みの緩和に使われます。効果が強く、痛みを効果的に抑えてくれますが、眠気、吐き気、ふらつき、血圧低下、呼吸抑制、便秘などの副作用があります。
1 不眠
【×】誤りです。副作用として、眠気があります。
2 下痢
【×】誤りです。副作用として、便秘があります。
3 脈拍
4 呼吸
5 体温