「終末期(看取り)」について学ぼう
終末期(看取り)は、 介護福祉士国家試験で 繰り返し 出題されているテーマです。
本人の意思、 心と体の変化、 終末期の介護、 家族への支援など、 試験でよく問われるポイントです。
特に、次の内容について 確認をしておきましょう。
- 本人の意思や 希望を大切にすること
- 終末期に起こる 心と体の変化
- 苦痛をやわらげるための 介護
- 死を受け入れる 心の変化
- 家族への支援と グリーフケア
- 臨終時や 亡くなった後の 介護
- ACPとデスカンファレンス
本人の意思を大切にしよう
終末期の介護では、 本人がどのように過ごしたいか、 どのような医療やケアを受けたいか を大切にします。
本人の希望と 家族の希望が 違うこともあります。
そのときも、まず 本人の気持ちや 希望を確認する ことが基本です。
ACP(アドバンス・ケア・プランニング)とは?
もしものときに備えて、 本人が 大切にしたいことや、 どのような医療・ケアを 受けたいかについて、 家族や 医療・ケアの専門職と 話し合い、 共有していくことです。
- 自分が 大切にしたいこと
- どこで過ごしたいか
- どのような医療やケアを 受けたいか
- 受けたくない 医療やケアはあるか
ACPは、一度決めたら終わりではありません
本人の気持ちや 体の状態は、 変わることがあります。
そのため、必要に応じて、 何度でも 話し合い、 見直します。
覚えておこう
終末期の支援では、 「家族はどうしてほしいか」ではなく、 まず「本人はどうしたいか」 を考えることが大切です。
試験で覚えるポイント
「本人の意思を 確認する」 「本人の希望を 尊重する」 という考え方は、 終末期の問題で 重要です。
家族や 介護職だけで、 本人のことを 決めるのは適切ではありません。
終末期には、心と体にどんな変化が起こる?
終末期から 死が近づくと、 体のさまざまな機能が 少しずつ低下していきます。
介護福祉職は、 これらの変化を観察し、 必要なことを 医療職などに 伝えることが大切です。
① 意識の変化
- 眠っている時間が 長くなる
- 呼びかけへの反応が 少なくなる
- 意識がぼんやりすることがある
② 呼吸の変化
- 呼吸の速さや リズムが変わる
- 深い呼吸と 浅い呼吸を 繰り返すことがある
- のどからゴロゴロする音が 聞こえることがある
死前喘鳴
死が近づいたときに、
のどにたまった分泌物などによって、
ゴロゴロという音が聞こえることがあります。
③ 循環の変化
- 血圧が低くなる
- 脈が弱くなったり、 不規則になったりする
- 手足が冷たくなる
- 手足や口唇などが 青紫色に見えることがある
チアノーゼ
血液中の
酸素が少なくなるなどして、
皮膚や口唇が
青紫色に見える状態です。
④ 食事・水分・排泄の変化
- 食欲が低下する
- 食事や水分を とる量が少なくなる
- 飲み込む力が 弱くなることがある
- 尿の量が 少なくなる
⑤ 皮膚・筋肉の変化
- 皮膚が冷たくなる
- 筋力が低下し、 体を動かしにくくなる
- 同じ姿勢で 過ごす時間が長くなり、 褥瘡のリスクが高くなる
覚えておこう
終末期には、 意識・呼吸・ 循環・食事・ 排泄 など、いろいろな変化がみられます。
一つの変化だけで 判断せず、 本人の状態を 全体で観察することが大切です。
試験で覚えるポイント
終末期の問題では、 「どんな身体変化がみられているか」 と、 「その変化に対して、 どのように介護するか」 をセットで考えましょう。
終末期の介護では何をする?
終末期では、 病気を治すことだけではなく、 本人の苦痛をやわらげ、 できるだけ安心して過ごせるようにすること が大切です。
介護福祉職は、 本人の状態や 希望を確認しながら、 必要な介護を行います。
① 食事・水分
終末期には、 食欲や 飲み込む力が 低下することがあります。
→ 介護では
無理に食べてもらうのではなく、 本人が食べたいものや、 食べられるものを大切にします。
② 呼吸が苦しいとき
呼吸困難があるときは、 本人が呼吸しやすく、 楽に感じる 姿勢を整えます。
→ 例
半座位など、 上半身を起こした 姿勢をとることがあります。
③ せん妄があるとき
せん妄によって、 話のつじつまが合わなくなったり、 不安になったりすることがあります。
→ 介護では
「それは違います」と否定せず、 本人の話や 気持ちを受け止めます。
④ 反応が少ないとき
終末期には、 呼びかけへの反応が 少なくなることがあります。
→ 介護では
反応がなくても、 本人に声をかけながら 介護します。
⑤ 清潔を保つ
体を動かすことが 難しくなっても、 本人の負担に 配慮しながら、 清潔を保ちます。
→ 例
口腔ケア、 清拭、 衣類や寝具を 整えるなど、 本人が快適に 過ごせるようにします。
⑥ 本人らしい生活を大切にする
終末期でも、 本人がこれまで 大切にしてきた 生活や習慣があります。
→ 介護では
本人の好きなことや 希望をできるだけ尊重します。
覚えておこう
終末期の介護では、 「いつもどおりに行うこと」より、 「今の本人にとって 楽か、安心できるか」 を考えることが大切です。
試験で覚えるポイント
終末期の問題では、 無理にさせる・否定する・ 介護職の都合を優先する ような選択肢に注意しましょう。
本人の希望・ 安楽・尊厳 を大切にする介護が 基本です。
死を受け入れる心の変化を知ろう
終末期にある人は、 自分の死について、 さまざまな気持ちを感じることがあります。
キューブラー・ロスは、 死を受け入れていく 心の変化を、 5つの段階で示しました。
自分が死ぬことを 受け入れられず、 「そんなはずはない」と思う段階です。
例: 「何かの間違いだ」 「自分がそんな病気のはずがない」
「なぜ自分なのか」と、 怒りや不満を 感じる段階です。
例: 「どうして私なの?」 「こんなのは不公平だ」
「○○するから、もう少し生きたい」など、 死を避けたいという 願いをもつ段階です。
例: 「あと○○まで生きられたらいい」
死が近いことを感じ、 強い悲しみや 落ち込みがみられる段階です。
例: 「もう何をしてもだめだ」 「何もしたくない」
自分の死を 受け入れ、 残された時間を 自分らしく過ごそうとする段階です。
例: 「残った時間を 家族と静かに過ごしたい」
覚えておこう
この5つは、 すべての人が必ず 同じ順番で 経験するという意味ではありません。
人によって気持ちの 変化は違います。
試験で覚えるポイント
試験では、 「否認 → 怒り → 取り引き → 抑うつ → 受容」 の順番だけでなく、 本人の言葉や 様子から、 どの段階かを判断する 問題にも注意しましょう。
終末期の介護では何をする?
終末期では、 病気を治すことだけではなく、 本人の苦痛をやわらげ、 できるだけ安心して過ごせるようにすること が大切です。
介護福祉職は、 本人の状態や 希望を確認しながら、 必要な介護を行います。
① 食事・水分
終末期には、 食欲や 飲み込む力が 低下することがあります。
→ 介護では
無理に食べてもらうのではなく、 本人が食べたいものや、 食べられるものを大切にします。
② 呼吸が苦しいとき
呼吸困難があるときは、 本人が呼吸しやすく、 楽に感じる 姿勢を整えます。
→ 例
半座位など、 上半身を起こした 姿勢をとることがあります。
③ せん妄があるとき
せん妄によって、 話のつじつまが合わなくなったり、 不安になったりすることがあります。
→ 介護では
「それは違います」と否定せず、 本人の話や 気持ちを受け止めます。
④ 反応が少ないとき
終末期には、 呼びかけへの反応が 少なくなることがあります。
→ 介護では
反応がなくても、 本人に声をかけながら 介護します。
⑤ 清潔を保つ
体を動かすことが 難しくなっても、 本人の負担に 配慮しながら、 清潔を保ちます。
→ 例
口腔ケア、 清拭、 衣類や寝具を 整えるなど、 本人が快適に 過ごせるようにします。
⑥ 本人らしい生活を大切にする
終末期でも、 本人がこれまで 大切にしてきた 生活や習慣があります。
→ 介護では
本人の好きなことや 希望をできるだけ尊重します。
覚えておこう
終末期の介護では、 「いつもどおりに行うこと」より、 「今の本人にとって 楽か、安心できるか」 を考えることが大切です。
試験で覚えるポイント
終末期の問題では、 無理にさせる・否定する・ 介護職の都合を優先する ような選択肢に注意しましょう。
本人の希望・ 安楽・尊厳 を大切にする介護が 基本です。
グリーフとグリーフケア
大切な人を 亡くしたとき、 家族には、 悲しみだけでなく、 怒りや後悔、 不安など、 さまざまな反応がみられることがあります。
グリーフとは?
グリーフ(grief)とは、 大切な人を 失ったときに感じる 悲しみや、 それにともなう心や 体の反応のことです。
グリーフは、 人によって現れ方が違います。
心にみられる反応
- 強い悲しみ
- 寂しさ
- 怒り
- 後悔
- 自分を責める
- 何も感じないように思う
体や生活にみられる反応
- 眠れない
- 食欲がなくなる
- 疲れやすくなる
- 集中しにくくなる
- 人と会いたくなくなることがある
グリーフケアでは、どう支える?
覚えておこう
大切な人を 亡くしたときに悲しむことは、 それだけで異常な反応ではありません。
悲しみの強さや 続く期間には、 個人差があります。
試験で覚えるポイント
家族が悲しんでいるときは、 「励ます」よりも、 まず「話を聴く」 ことを考えます。
また、悲嘆が長期化し、 支援が必要な場合は、 専門医などへの相談につなげることも 大切です。
臨終時と亡くなった後の介護
臨終とは?
臨終とは、 人が亡くなる 直前や、 死を迎えるときのことです。
「臨終時」は、 死が近づき、 呼吸や意識、 体の状態に 大きな変化がみられる 時期を表します。
死が近づくと、 呼吸や 意識、 血液の流れなどに 変化がみられます。
介護福祉職は、 本人の状態を 観察しながら、 医療職や 家族と連携して 支援します。
① 臨終が近づいたとき
- 呼吸のリズムが 変わる
- 意識が 低下する
- 手足が 冷たくなる
- 尿の量が 少なくなることがある
② 家族への支援
- 今どのような 変化が起きているかを わかりやすく伝える
- 家族が 本人と 過ごせるようにする
- 不安や 気持ちを聴く
③ 亡くなった後
- 本人の 尊厳を大切にする
- 家族の希望にも 配慮する
- 生前と同じように、 本人に声をかけながら 介護する
死後にみられる体の変化
亡くなった後の介護で大切なこと
- 本人に 声をかけながら、 丁寧に介護する
- 本人の 生前の希望や、 家族の希望に 配慮する
- 清潔を保ち、 身だしなみを整える
- 家族が 本人と過ごす 時間にも配慮する
覚えておこう
人が亡くなった後も、 その人の 尊厳を守る ことは変わりません。
反応がないからといって、 物を扱うように 介護するのではなく、 生前と同じように 丁寧に関わります。
試験で覚えるポイント
死亡後の介護では、 生前と同じように 本人に声をかけながら 介護する ことを覚えておきましょう。
また、 死後硬直が 起きてから 死後の介護を 始める という考え方は 誤りです。
看取りは多職種で支える
終末期の支援は、 介護福祉職だけで 行うものではありません。
本人や家族の 希望を大切にしながら、 医師・看護職・ 介護福祉職などが 情報を共有し、 協力して支える ことが大切です。
介護福祉職の役割
- 本人の生活や 日々の様子を 観察する
- 食事・排泄・ 呼吸・意識などの 変化に気づく
- 本人の気持ちや 希望を聴く
- 必要な情報を 他の専門職に 報告する
多職種で共有すること
- 本人の希望や 意思
- 心や体の 状態
- 苦痛や 不安の有無
- 家族の 気持ちや状況
- 今後の 支援方法
介護福祉職の観察を 支援につなげよう
本人の変化に 気づく
必要なことを 医療職などに伝える
多職種で 本人に合った 支援を行う
デスカンファレンスとは?
デスカンファレンス(death conference)とは、 利用者が亡くなった後に、 その人への支援を 多職種で振り返る カンファレンスです。
「どのような介護を行ったか」 「もっとできたことはなかったか」などを振り返り、 その経験を 今後の介護に 生かします。
デスカンファレンス = 亡くなった利用者への 支援を振り返り、 次の介護に 生かす
覚えておこう
介護福祉職は、 医療の判断を 一人で行うのではありません。
日常生活の中で 気づいた変化を 観察し、 必要な情報を 他職種と共有する ことが大切です。
試験で覚えるポイント
デスカンファレンスは、 終末期を迎えている 利用者について 「これからどう介護するか」を 話し合うものではありません。
亡くなった利用者の 事例を振り返り、 今後の介護に 活用する ことが目的です。
試験ではここを確認しよう
終末期(看取り)の 問題では、 問題文を読んで、 「何について聞かれているのか」 を見分けることが大切です。
次のような言葉や 場面が出てきたら、 どのテーマの問題かを考えてみましょう。
① 本人の希望が出てきた
注目する言葉
「〜したい」/「〜したくない」/ 家族の希望と 本人の希望が違う
→ 本人の意思・ACP の問題です。
本人はどうしたい?
② 呼吸・意識・食事などが出てきた
注目する言葉
呼吸の変化/ 反応が少ない/ 食欲がない/ 尿量が減る
→ 終末期の身体変化・介護 の問題です。
今どんな変化が起きている?
③ 「なぜ自分なの?」などの言葉が出てきた
注目する言葉
「間違いだ」/ 「なぜ私なの?」/ 「もう何をしてもだめ」
→ キューブラー・ロスの死の受容過程 の問題です。
どの段階?
④ 家族が不安・悲しみ・後悔を話している
注目する言葉
「もっとできたかもしれない」/ 「どうしたらいいかわからない」/ 亡くなった後の悲しみ
→ 家族支援・グリーフケア の問題です。
まず何をする?
⑤ 「亡くなった後」の介護が出てきた
注目する言葉
死亡後/ 死後硬直/ 死斑/ 死後の介護
→ 死後の身体変化・尊厳 の問題です。
亡くなった後も、どう関わる?
⑥ 亡くなった利用者の支援を振り返る
注目する言葉
多職種/ 振り返り/ 今後の介護に生かす
→ デスカンファレンス の問題です。
いつ、何のために行う?
試験のポイント
終末期の問題では、 言葉だけを覚えるのではなく、 「本人の意思」 「身体の変化」 「家族への支援」 「亡くなった後」 など、何について聞かれているのかを 見分けましょう。
試験でよく 間違えるポイント
○か×かを考えてから、 「答えを見る」を 押して 確認しましょう。
終末期では、 本人の 希望よりも、 家族の 希望を 優先する。
答えを 見る
本人の 意思や 希望を 大切にすることが 基本です。 家族だけで 決めるのではなく、 まず 本人がどうしたいか を確認します。
ACPは、 一度 決めたら、 変更しない。
答えを 見る
本人の 気持ちや 体の 状態は、 変わることがあります。 そのため、 必要に 応じて 何度でも 話し合い、 見直します。
せん妄によって、 話のつじつまが 合わないときは、 間違いをすぐに 訂正する。
答えを 見る
間違いを 強く 訂正するよりも、 本人の 話や 気持ちを 受け止めます。 安心できるように 関わることが 大切です。
家族が、 亡くなった 人のことを 悲しんでいるときは、 早く 元気になるように 励ます。
答えを 見る
グリーフケアでは、 悲しみを 急いで 終わらせようとするのではなく、 家族の 話を 聴き、 気持ちを 受け止めます。
利用者が 亡くなった 後も、 生前と 同じように 声をかけながら 介護する。
答えを 見る
正しいです。 亡くなった 後も、 本人の 尊厳を 大切にします。 生前と 同じように 声をかけながら、 丁寧に 介護します。
デスカンファレンスは、 終末期の 利用者について、 これからどのような 介護をするかを 話し合うものである。
答えを 見る
デスカンファレンスは、 利用者が 亡くなった 後に、 その人への 支援を 振り返り、 今後の 介護に 生かす ために行います。
まとめ
終末期(看取り)の 問題で 大切なポイントを 確認しましょう。
本人の
意思を
大切にする
家族や
介護職だけで
決めず、
まず本人が
どうしたいかを確認します。
ACPは何度でも
話し合う
本人の
気持ちや
状態は
変わることがあります。
終末期では
安楽を
大切にする
無理に
食べさせたり、
介護職の
都合を
優先したりしません。
死の
受容過程を
見分ける
否認 →
怒り →
取り引き →
抑うつ →
受容です。
家族の
話を
聴く
不安や
悲しみを
すぐに励ますのではなく、
気持ちを
受け止めます。
亡くなった
後も
尊厳を
守る
生前と
同じように
声をかけながら、
丁寧に
介護します。
デスカンファレンスは
亡くなった
後の
振り返り
利用者への
支援を
振り返り、
今後の
介護に
生かします。
試験のポイント
終末期(看取り)の 問題では、 「本人の 意思」 「安楽」 「尊厳」 が大切です。
無理にさせる、 本人の 気持ちを 否定する、 家族や 介護職だけで 決める といった選択肢には 注意しましょう。
実際の 過去問に 挑戦しよう
ここまで学んだ 内容を、 実際の 介護福祉士国家試験の 問題で 確認してみましょう。
本人の 意思、 終末期の 身体変化、 家族への 支援、 死後の 介護などが、 どのように問題に 出ているかを 確認できます。
問題文を 読んだら、 「本人はどうしたい?」 「何が起きている?」 「まず何をする?」 を意識して 解いてみましょう。
終末期(看取り)の 過去問に 挑戦する