認知症の理解
問題39
高齢者の自動車運転免許に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 75歳から免許更新時の認知機能検査が義務づけられている。
2 80歳から免許更新時の運転技能検査が義務づけられている。
3 軽度認知障害(mild cognitive impairment)と診断された人は運転免許取消しになる。
4 認知症(dementia)の人はサポートカー限定免許であれば運転が可能である。
5 認知症(dementia)による運転免許取消しの後,運転経歴証明書が交付される。
(注)「サポートカー限定免許」とは,道路交通法第91条の2の規定に基づく条件が付された免許のことである。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題39(解答と解説)
高齢者の自動車運転免許に関する問題です。
答えは、「1」です。
1 75歳から免許更新時の認知機能検査が義務づけられている。
2 80歳から免許更新時の運転技能検査が義務づけられている。
【×】誤りです。75歳から運転技能検査が義務づけられています。
3 軽度認知障害(mild cognitive impairment)と診断された人は運転免許取消しになる。
【×】誤りです。運転免許取消しになるのは、認知症と診断された人です。
4 認知症(dementia)の人はサポートカー限定免許であれば運転が可能である。
【×】誤りです。認知症の人は、運転免許取消しになるため、どんな車であっても運転はできません。
5 認知症(dementia)による運転免許取消しの後,運転経歴証明書が交付される。
【×】誤りです。運転経歴証明書は、過去の運転記録を証明する書類です。自主返納後の身分証明証として利用されています。
問題40
認知症(dementia)の行動・心理症状(BPSD)であるアパシー(apathy)
に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。
1 感情の起伏がみられない。
2 将来に希望がもてない。
3 気持ちが落ち込む。
4 理想どおりにいかず悩む。
5 自分を責める。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題40(解答と解説)
認知症の行動・心理症状(BPSD)であるアパシーに関する問題です。
答えは、「1」です。
アパシーとは、行動・心理症状(BPSD)の1つで、物事に対して興味や関心、意欲がなくなったり、感情の起伏がなくなることをいいます。
1 感情の起伏がみられない。
【○】正しい選択肢です。気分が良くなったり、悪くなったりすることを感情の起伏といいます。アパシーの説明です。
2 将来に希望がもてない。
3 気持ちが落ち込む。
4 理想どおりにいかず悩む。
5 自分を責める。
問題41
認知症(dementia)の人にみられる,せん妄に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ゆっくりと発症する。
2 意識は清明である。
3 注意機能は保たれる。
4 体調の変化が誘因になる。
5 日中に多くみられる。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題41(解答と解説)
せん妄に関する問題です。
答えは、「4」です。
せん妄は、意識がぼんやりし、現実がわからなくなる状態です。手術後や感染症、薬の副作用などで脳がうまく働かなくなることが原因です。
意識障害や幻視、運動不穏などの症状が見られます。
また、急激に症状があらわれ、夜間に多くみられます。
一時的なものなので、原因を特定することで、症状が改善されることが多いです。
認知症の症状と似ているため、違いなどを整理しておきましょう。
1 ゆっくりと発症する。
【×】誤りです。急激に発症します。
2 意識は清明である。
【×】誤りです。清明とははっきりしているということです。意識はぼんやりするので誤りです。
3 注意機能は保たれる。
【×】誤りです。意識がぼんやりしているため、注意機能は保たれません。
4 体調の変化が誘因になる。
【○】正しい選択肢です。誘因とはある作用をひき起こす原因のことをいいます。
せん妄の場合は、手術後や薬の副作用による体調の変化が関係するため、最も適切な選択肢といえます。
5 日中に多くみられる。
【×】誤りです。夜間に多くみられます。
問題42
レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)にみられる歩行障害として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 しばらく歩くと足に痛みを感じて,休みながら歩く。
2 最初の一歩が踏み出しにくく,小刻みに歩く。
3 動きがぎこちなく,酔っぱらったように歩く。
4 下肢は伸展し,つま先を引きずるように歩く。
5 歩くごとに骨盤が傾き,腰を左右に振って歩く。
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問題42(解答と解説)
レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)にみられる歩行障害に関する問題です。
答えは、「2」です。
レビー小体型認知症は、脳にレビー小体という異常なタンパク質が蓄積することで発症します。
幻視、パーキンソン症状、日内変動などが特徴です。
今回、問われているのは、歩行障害の特徴です。
パーキンソン病の歩行障害には、小刻み歩行、すくみ足などがあります。
1 しばらく歩くと足に痛みを感じて,休みながら歩く。
【×】誤りです。間欠性跛行の説明です。脊柱管狭窄症の人にみられます。
2 最初の一歩が踏み出しにくく,小刻みに歩く。
3 動きがぎこちなく,酔っぱらったように歩く。
【×】誤りです。ふらつき歩行の説明です。脊髄小脳変性症の人にみられます。
4 下肢は伸展し,つま先を引きずるように歩く。
【×】誤りです。痙性歩行の説明です。脳や脊髄の損傷で起こる痙性麻痺の人にみられます。
5 歩くごとに骨盤が傾き,腰を左右に振って歩く。
【×】誤りです。動揺性歩行の説明です。筋ジストロフィーの人にみられます。
#レビー小体型認知症 #歩行障害
問題43
次の記述のうち,若年性認知症(dementia with early onset)の特徴として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 高齢の認知症(dementia)に比べて,症状の進行速度は緩やかなことが多い。
2 男性よりも女性の発症者が多い。
3 50歳代よりも30歳代の有病率が高い。
4 特定健康診査で発見されることが多い。
5 高齢の認知症(dementia)に比べて,就労支援が必要になることが多い。
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問題43(解答と解説)
若年性認知症に関する問題です。
答えは、「5」です。
若年性認知症は、65歳未満で発症する認知症のことです。
男性のほうが発症者が多く、高齢者の認知症と比べて進行が早いのが特徴です。
原因となる疾患は、アルツハイマー型認知症が最も多く、次に血管性認知症、前頭側頭型認知症と続きます。
記憶力の低下や精神的な不調などがあっても、認知症と気づかず診断が遅れがちです。
1 高齢の認知症(dementia)に比べて,症状の進行速度は緩やかなことが多い。
【×】誤りです。症状の進行速度は高齢者と比べて早いです。
2 男性よりも女性の発症者が多い。
【×】誤りです。男性のほうが発症者が多いです。
3 50歳代よりも30歳代の有病率が高い。
【×】誤りです。50歳代のほうが高いです。
4 特定健康診査で発見されることが多い。
【×】誤りです。特定健康診査ではなく、職場や家族などが周囲の人が気づくことが多いです。
5 高齢の認知症(dementia)に比べて,就労支援が必要になることが多い。
【○】正しい選択肢です。65歳未満の場合、仕事をしている人も多く、経済的に家庭を支えている人がほとんどです。仕事を続けられるような就労支援が必要になります。