医療的ケア
問題63
Fさん(87歳,女性)は,介護老人福祉施設に入所している。嚥下機能が低下したため,胃ろうによる経管栄養が行われている。担当の介護福祉士は,Fさんの経管栄養を開始して,しばらく観察した。その後,15分後に訪室すると,Fさんが嘔吐して,意識はあるが苦しそうな表情をしていた。介護福祉士は,すぐに経管栄養を中止して看護職員を呼んだ。
看護職員が来るまでの介護福祉士の対応として,最も優先すべきものを1つ選びなさい。
1 室内の換気を行った。
2 ベッド上の嘔吐物を片付けた。
3 酸素吸入を行った。
4 心臓マッサージを行った。
5 誤嚥を防ぐために顔を横に向けた。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
解答と解説
問題63
経管栄養時に起きたトラブルへの対応を確認する問題です。
答えは、「5」です。
経管栄養など医療行為を行うときは、利用者のそばにいる人として、利用者の命を守るために予想できるトラブルの対応は覚えておきましょう。
この問題で問われているのは、「看護師が来るまでに最も優先すべき対応」です。
このような質問の場合は、優先度を判断することがポイントです。
1 室内の換気を行った。
【×】利用者が嘔吐したとき、換気が必要となるときもありますが、最も優先することではありません。
2 ベッド上の嘔吐物を片付けた。
【×】嘔吐物を片づけることも、利用者のためには必要ですが、最も優先することではありません。
3 酸素吸入を行った。
【✕】事例に「意識はあるが苦しそうな表情をしていた」とありますが、まずは、苦しい原因を確認する必要がありますね。
酸素吸入は、血中飽和度が低下した人に行う行為です。事例にそのような記述はないため、誤りです。
4 心臓マッサージを行った。
【×】事例に「意識はある」と記述があるため、Fさんは心臓マッサージが必要な状態ではないといえます。
5 誤嚥を防ぐために顔を横に向けた。
【○】嘔吐をした場合、嘔吐物が気管に入ってしまう場合があります。誤嚥性肺炎や窒息など命の危険につながりますので、顔を横に向けるという選択肢が最も優先するべき対応です。
#経管栄養 #心臓マッサージ #誤嚥性肺炎 #緊急時