認知症の理解
問題43
Lさん(83歳,女性,要介護1)は,アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)である。一人暮らしで,週2回,訪問介護(ホームヘルプ サービス)を利用している。
ある日,訪問介護員(ホームヘルパー)が訪問すると,息子が来ていて,「最近,母が年金の引き出しや,水道代の支払いを忘れるようだ。日常生活自立支援事業というものがあると聞いたことがあるが,どのような制度なのか」と質問があった。
訪問介護員(ホームヘルパー)の説明として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 「申込みをしたい場合は,家庭裁判所が受付窓口です」
2 「年金の振込口座を,息子さん名義の口座に変更することができます」
3 「Lさんが契約内容を理解できない場合は,息子さんが契約できます」
4 「生活支援員が,水道代の支払いをLさんの代わりに行うことができます」
5 「利用後に苦情がある場合は,国民健康保険団体連合会が受付窓口です」
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
解答と解説
問題43
日常生活自立支援事業に関する問題です。
答えは、「4」です。
日常生活自立支援事業は、認知症や障害によって判断能力が不十分な人の日常的な金銭管理や福祉サービスの利用手続きなどを支援する事業です。
都道府県・指定都市の社会福祉協議会が実施主体です。
日常生活自立支援事業の援助内容
- 福祉サービス利用援助
福祉サービスの利用に関する相談や情報の提供をします。
- 日常的金銭管理
公共料金、税金、医療費などを支払う手続きをします。
- 書類等の預かりサービス
日常的金銭管理で使用する預貯金通帳や銀行印など重要書類の預かりをします。
- 見守り
定期的な訪問による生活の見守りをします。
1 「申込みをしたい場合は,家庭裁判所が受付窓口です」
【×】受付窓口は、実施主体の社会福祉協議会です。最寄りの社会福祉協議会に申請(相談)を行います。
2 「年金の振込口座を,息子さん名義の口座に変更することができます」
【×】年金の受給は原則本人のみとなっているため、本人以外が年金を受け取ることはできません。認知症などで本人が年金の管理ができない場合で、息子さんが年金を受け取りたい場合は、「成年後見制度」を利用し、息子さんを成年後見人として登記する必要があります。
3 「Lさんが契約内容を理解できない場合は,息子さんが契約できます」
【×】日常生活自立支援事業では、親族が契約するのではなく、福祉サービスの様々な手続きや契約を支援してくれます。
4 「生活支援員が,水道代の支払いをLさんの代わりに行うことができます」
【○】日常生活自立支援事業で実際に援助してくれる人は、専門員や生活支援員です。
5 「利用後に苦情がある場合は,国民健康保険団体連合会が受付窓口です」
【×】日常生活自立支援事業の苦情窓口は、都道府県社会福祉協議会に設置されている「運営適正化委員会」です。
国民健康保険団体連合会は、介護保険サービス利用者の苦情を対応する窓口です。
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