国家試験の問題を解くために必要な言葉をしっかりおさえましょう。
言葉の解説:促す
「促す」は、「ある行為をするように働きかける」という意味です。
ものごとが早く行われるように、相手の心を目的(ゴール)に向けさせて、少しでも進めるようなときに使います。
ものごとが早く進むように、周りから急がせるというようなときも使います。
試験では、「促す」や「促進・促進する」というような使い方で出題されます。
促進・促進する
「促進」は、物事が前へ早く順調に進むようにすることです。
進んでいるものスピードがアップできるようにするという意味で使います。
スピードを早める意味が含まれているので、「ゆっくり」や「少しずつ」という言葉とは一緒に使いません。
「促進」と「推進」はどう違う?
似たような言葉で「推進」という言葉があります。
この言葉も試験で使われる言葉です。
「促進」と「推進」はどう違うのか見ていきましょう。
推進・推進する
「推進」は、大きく2つの意味があります。
1つは、物事を前へ推し進めること。
もう1つは、物事(事業や運動)が最後まで成功するように力をつくすこと。
「推進」は、何かの力で物を前に進めるという意味もあります。
「促進」と「推進」の大きな違いは「主体」
「促進」と「推進」は、どちらも「何かを前に進める」という意味がありました。
では、この言葉をどう使い分けるのでしょうか?
そのポイントは、「主体」=「誰が」です。
「促進」の主体は、自分ではなく「他の人」です。
他の人を主体にして、他の人がしているその物事が早く進むように働きかけます。
その物事をやっている人は、自分ではなく他の人です。
他の人がやっていることを、早く進むように自分が働きかけをします。
それでは、「推進」はどうでしょうか?
「推進」の主体は、自分です。
自分が主体となって、物事が前に進むように力をつくすことです。
その物事をやっているのは、自分になります。
また、「促進」には、スピード(早さ)の意味も加わりますので、そこも違う部分です。
実際の問題を見てみよう
第31回(問題66、67・事例文)
Jさんの表情が穏やかなときに歩行訓練に参加を促すが、「ああ、うん…」と言うだけで、訓練に参加していない。
Jさんが、「歩行訓練に参加をするように働きかける」という意味ですね。
第31回(問題105・選択肢)
2 交感神経は、直腸の蠕動運動を促進させる。
排便の仕組みに関する設問の選択肢です。
「促進させる」は促進するの使役形です。誰かにさせるという意味が加わります。
この文では、「交感神経が蠕動運動をする働きかけをする」という意味です。
この選択肢は、✖です。
交感神経はストレスを感じている状態なので、蠕動運動をじゃまをします。
蠕動運動とは、胃や大腸などの消化管が食べものを送るために、伸びたり縮んだりを繰り返して、腸内を移動し、体外へ排出する動きのことを言います。
伸びたり(ゆるんだり)、縮んだりすることを、「弛緩」「収縮」と言いますので、一緒に覚えましょう。
第32回(問題29・選択肢)
3 はっきりと発音するように促す。
構音障害のある利用者とのコミュニケーションに関する設問での選択肢です。
「利用者がはっきりと発音するように働きかける」という意味です。
この選択肢は、✖です。
構音障害のある人に、はっきり発音するように働きかけることは、逆に負担になってしまうので、やめましょう。
第32回(問題62・選択肢)
4 利用者の正しい理解を促すために専門用語を用いる。
介護計画の作成に関する設問での選択肢です。
「正しい理解を進めるために、専門用語を使う」という意味です。
この選択肢は、✖です。
介護計画書は、利用者やその家族に渡すものです。専門用語より、誰がみてもわかる言葉を使って作成しましょう。
第33回(問題45・選択肢)
2 浮力作用があるため、入浴中に関節運動を促す。
入浴の身体への作用を踏まえた介護福祉職の対応に関する設問の選択肢です。
「作用」とは、「他のものに影響を与える」という意味です。
ここでは、入浴が身体に与える影響を考えて、介護福祉職がどう対応するかという問題でした。
この選択肢は、「浮力が影響するので、入浴中に関節運動をするように働きかける」という意味です。
答えは、○ですね。
入浴中は浮力作用で身体が軽く感じられるので、関節などを動かすいいチャンスです。
第33回(問題103・選択肢)
4 腎臓の働きを促進する。
入浴(中温浴)の効果に関する設問の選択肢です。
「入浴は腎臓の働きをより早く進める」という意味です。
答えは○。
中温浴(38℃~41℃)での入浴は、身体にいい効果を与えます。
その1つが腎臓の働きを活発(元気)にするということです。
他にもどんな効果があるか考えてみましょう。