生活支援技術
問題80
介護老人福祉施設における,レクリエーション活動に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 利用者全員が参加することを重視する。
2 毎回,異なるプログラムを企画する。
3 プログラムに買い物や調理も取り入れる。
4 利用者の過去の趣味を,プログラムに取り入れることは避ける。
5 地域のボランティアの参加は,遠慮してもらう。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題80(解答と解説)
レクレーション活動に関する問題です。
答えは、「3」です。
1 利用者全員が参加することを重視する。
【×】誤りです。全員が参加することが目的ではありません。利用者が参加したいと思うレクレーション活動を企画できるようにしましょう。
2 毎回,異なるプログラムを企画する。
【×】誤りです。毎回変える必要はありません。
3 プログラムに買い物や調理も取り入れる。
【○】正しい選択肢です。買い物や調理など、利用者の生きがいになる企画を取り入れることはQOLの向上につながります。
4 利用者の過去の趣味を,プログラムに取り入れることは避ける。
【×】誤りです。趣味は利用者の生きがいにつながります。避けるのではなく、取り入れるようにしましょう。
5 地域のボランティアの参加は,遠慮してもらう。
【×】誤りです。地域のボランティアの人たちと触れ合うことは、新たな刺激になり、気分転換やコミュニケーション促進となります。積極的に参加をしてもらいましょう。
問題81
関節リウマチ(rheumatoid arthritis)で,関節の変形や痛みがある人への住まいに関する介護福祉職の助言として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 手すりは,握らずに利用できる平手すりを勧める。
2 いすの座面の高さは,低いものを勧める。
3 ベッドよりも,床に布団を敷いて寝るように勧める。
4 部屋のドアは,開き戸を勧める。
5 2階建ての家の場合,居室は2階にすることを勧める。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題81(解答と解説)
関節リウマチの人の住まいに関する問題です。
答えは、「1」です。
関節リウマチの主な症状を理解しましょう。
関節リウマチのまとめ
- 関節が炎症を起こし、軟骨や骨が壊されてしまう病気
- 女性に多い
- 激しい痛み、腫れの症状があり、関節を動かさなくても痛みが出る
- 症状は手足の小さな関節から左右対称に出始める
- 早朝は手や体のこわばりがある
- 治療が難しいため、日常生活は関節の保護を重視し、支援をする
問題文には「すでに関節の変形や痛みがある」との記述がありますので、関節の保護を重視した日常生活を支援できるようにします。
1 手すりは,握らずに利用できる平手すりを勧める。
【○】正しい選択肢です。平手すりとは、握る部分が平らの形の手すりです。握る力が弱くなっていたり、握ることのできない人が手のひらや肘をのせて移動する場合に適した手すりです。
2 いすの座面の高さは,低いものを勧める。
【×】誤りです。立ち上がったり、座ったりするときに、足の関節を多く動かすことなってしまいます。
3 ベッドよりも,床に布団を敷いて寝るように勧める。
【×】誤りです。身体のさまざまな関節を使います。関節の保護になりません。
4 部屋のドアは,開き戸を勧める。
【×】誤りです。開き戸の場合、ドアノブを回す動作があるため、関節リウマチの人には適していません。引き戸または、関節を回さずに開けられる開き戸がいいでしょう。
5 2階建ての家の場合,居室は2階にすることを勧める。
【×】誤りです。階段の上り下りなど、身体のさまざまな関節を使いうため、負担が多くかかります。関節の保護になりません。
問題82
心身機能が低下した高齢者の住環境の改善に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 玄関から道路までは,コンクリートから砂利敷きにする。
2 扉の取っ手は,レバーハンドルから丸いドアノブにする。
3 階段の足が乗る板と板の先端部分は,反対色から同系色にする。
4 車いすを使用する居室の床は,畳から板製床材(フローリング)にする。
5 浴槽は,和洋折衷式から洋式にする。
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問題82(解答と解説)
高齢者の住環境に関する問題です。
答えは、「4」です。
1 玄関から道路までは,コンクリートから砂利敷きにする。
【×】誤りです。砂利とは2~5㎝ほどのサイズの小さな石です。車いすの前輪などが石にひっかかり転倒の危険があるため、適切ではありません。
2 扉の取っ手は,レバーハンドルから丸いドアノブにする。
【×】誤りです。丸いドアノブは、回転をさせる動作があるため、大きな力が必要になります。レバーハンドルのほうが、小さな力でドアを開けることができます。
3 階段の足が乗る板と板の先端部分は,反対色から同系色にする。
【×】誤りです。反対色のほうが、階段の板の境目がわかりやすく、足を踏み外す心配がなくなります。
4 車いすを使用する居室の床は,畳から板製床材(フローリング)にする。
5 浴槽は,和洋折衷式から洋式にする。
【×】誤りです。和洋折衷式浴槽とは、和式浴槽と洋式浴槽の長所を合わせた浴槽で、肩までゆったりお湯につかることができる和式(深さがある)と、足を伸ばしてゆったり入れる洋式(長さがある)の特徴を備えています。
一見、洋式でも良いように思いがちですが、浴槽で滑り溺死につながる危険があるため適切ではありません。
問題83
仰臥位(背臥位)から半座位(ファーラー位)にするとき,ギャッチベッドの背上げを行う前の介護に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 背部の圧抜きを行う。
2 臀部をベッド中央部の曲がる部分に合わせる。
3 ベッドの高さを最も低い高さにする。
4 利用者の足がフットボードに付くまで水平移動する。
5 利用者のからだをベッドに対して斜めにする。
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問題83(解答と解説)
ベッドのギャッジアップの際の留意点に関する問題です。
答えは、「2」です。
ギャッチベッドとは、ベッドの高さ調節だけでなく、ベッドの頭側や足側の高さも調節できるため、上半身を起こしたり足の部分を折り曲げたりできるベッドです。
今回は、ギャッチベッドの背上げを行う前の介護に関することが質問されていますので、問題文を正しく読んで選択肢を選ぶようにしましょう。
1 背部の圧抜きを行う。
【×】誤りです。背部の圧抜きは、背上げの後に行います。
2 臀部をベッド中央部の曲がる部分に合わせる。
3 ベッドの高さを最も低い高さにする。
【×】誤りです。ベッドの高さを最も低い高さにするのは、利用者が体動などで転落の危険があるときです。今回の問題文にその記述はないため、留意するポイントではありません。
4 利用者の足がフットボードに付くまで水平移動する。
【×】誤りです。足ではなく、臀部の位置を基準とします。
5 利用者のからだをベッドに対して斜めにする。
【×】誤りです。斜めにすると半座位になったときに姿勢が安定しないため、並行にします。
#ギャッジアップ #仰臥位 #半座位 #背上げ
問題84
回復期にある左片麻痺の利用者が,ベッドで端座位から立位になるときの基本的な介護方法に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 利用者の右側に立つ。
2 利用者に,ベッドに深く座るように促す。
3 利用者に,背すじを伸ばして真上に立ち上がるように促す。
4 利用者の左側に荷重がかかるように支える。
5 利用者の左の膝頭に手を当てて保持し,膝折れを防ぐ。
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問題84(解答と解説)
左片麻痺の利用者への介護方法に関する問題です。
答えは、「5」です。
1 利用者の右側に立つ。
【×】誤りです。バランスを崩したときにに支えられるように、麻痺側(今回は、左側)に立ちます。
2 利用者に,ベッドに深く座るように促す。
【×】誤りです。ベッドに浅く座ってもらいます。
3 利用者に,背すじを伸ばして真上に立ち上がるように促す。
【×】誤りです。真上ではなく、斜め前方に立ち上がるように促します。
4 利用者の左側に荷重がかかるように支える。
【×】誤りです。麻痺側は力が入らないため、バランスを崩す危険があります。麻痺側に荷重をかけてはいけません。
5 利用者の左の膝頭に手を当てて保持し,膝折れを防ぐ。
【○】正しい選択肢です。膝頭とは、ひざの関節の前の部分です。麻痺側の膝は折れやすいので、膝頭に手を当ててサポートします。
問題85
標準型車いすを用いた移動の介護に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。
1 急な上り坂は,すばやく進む。
2 急な下り坂は,前向きで進む。
3 踏切を渡るときは,駆動輪を上げて進む。
4 エレベーターに乗るときは,正面からまっすぐに進む。
5 段差を降りるときは,前輪から下りる。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題85(解答と解説)
車いすでの移動介護に関する問題です。
答えは、「4」です。
1 急な上り坂は,すばやく進む。
【×】誤りです。坂道は急ぐのではなく、ゆっくり進みます。
2 急な下り坂は,前向きで進む。
【×】誤りです。坂道を下るときは、後ろ向きが基本です。
3 踏切を渡るときは,駆動輪を上げて進む。
【×】誤りです。踏切では、タイヤの小さい前輪が線路の溝にはまってしまう危険性があります。駆動輪ではなく、前輪を上げて進みます。
4 エレベーターに乗るときは,正面からまっすぐに進む。
【○】正しい選択肢です。エレベーターの乗り降りは、タイヤが溝にはまらないように、正面から乗り降りするようにします。
5 段差を降りるときは,前輪から下りる。
【×】誤りです。段差は、後輪から下りるのが基本です。
問題86
医学的管理の必要がない高齢者の爪の手入れに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 爪は,入浴の前に切る。
2 爪の先の白い部分は,残らないように切る。
3 爪は,一度にまっすぐ横に切る。
4 爪の両端は,切らずに残す。
5 爪切り後は,やすりをかけて滑らかにする。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題86(解答と解説)
高齢者の爪の手入れに関する問題です。
答えは、「5」です。
問題文に「医学的管理の必要がない」とあるのは、医学的管理が必要な爪の手入れは、医療行為になるため、介護福祉職では行うことができないからです。
介護職員が行える爪切り
以下の条件をすべて満たした場合のみ、介護職員は爪切りを行うことができます。
- 爪に異常がない
- 爪の周囲の皮膚に化膿や炎症がない
- 糖尿病などの疾患による専門的な管理が必要ではない
ちょろた先生
条件を満たしていない爪を切ることは、医療行為です。
介護職員は行ってはいけません。
1 爪は,入浴の前に切る。
【×】誤りです。入浴の前ではなく、入浴後の爪が柔らかくなっているときに切りましょう。
2 爪の先の白い部分は,残らないように切る。
【×】誤りです。爪先の白い部分は、1~2㎜くらい残すように切りましょう。
3 爪は,一度にまっすぐ横に切る。
【×】誤りです。一度にまっすぐ切るのではなく、爪に沿って少しずつ切りましょう。
4 爪の両端は,切らずに残す。
【×】誤りです。爪の両端は残すのではなく、適度に角を切りましょう。
5 爪切り後は,やすりをかけて滑らかにする。
問題87
左片麻痺の利用者が,端座位でズボンを着脱するときの介護に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 最初に,左側の腰を少し上げて脱ぐように促す。
2 右膝を高く上げて,脱ぐように促す。
3 左足を右の大腿の上にのせて,ズボンを通すように促す。
4 立ち上がる前に,ズボンを膝下まで上げるように促す。
5 介護福祉職は右側に立って,ズボンを上げるように促す。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題87(解答と解説)
ズボンの着脱介護に関する問題です。
答えは、「3」です。
1 最初に,左側の腰を少し上げて脱ぐように促す。
【×】誤りです。健側(今回は右側)の腰を少し上げて脱ぐように促します。
2 右膝を高く上げて,脱ぐように促す。
【×】誤りです。膝を高く上げる必要はありません。
3 左足を右の大腿の上にのせて,ズボンを通すように促す。
4 立ち上がる前に,ズボンを膝下まで上げるように促す。
【×】誤りです。膝上まで上げるように促します。
5 介護福祉職は右側に立って,ズボンを上げるように促す。
【×】誤りです。介護福祉職は、患側(今回は左側)に立ちます。