解答と解説
問題84
認知症の方の家族への助言に関する問題です。
答えは、「3」です。
一緒に住んでいる家族にとっては、認知症の行動はわからないことばかりです。
介護の専門職として、家族の気持ちに寄り添いながら、適切な助言ができるようにしましょう。
妄想は、認知症のBPSD(行動・心理症状)の心理症状の1つです。
誤った考えを、根拠もないのに強く信じてしまっている状態です。
今回の事例のもの盗られ妄想は、本人にとって大切なものを「盗まれた」と思い込んでしまうことです。
自分が失くしてしまったという非を認めたくない、自分が認知症だと認めたくないなど様々な気持から、自分にとって都合よく信じてしまっている状態です。
もの盗られ妄想は本人の不安から生じることが多いです。
不安を解消する、軽減するための対処法もしっかりとおさえておきましょう。
もの盗られ妄想は、記憶障害や、理解・判断力の低下によるものなので、言動を否定せずに受容する姿勢が大切です。
1 「主治医に興奮を抑える薬の相談をしてみてはどうですか」
【×】誤りです。薬物療法ではなく、本人の不安を軽減する関わり方を助言することが大切です。
2 「施設入所を検討してはどうですか」
【×】誤りです。家族はどのような対応をしたいいのか助言を求めています。ここでは、施設の入所は関係がありません。
3 「Cさんと一緒に探してみてはどうですか」
【○】正しい選択肢です。もの盗られ妄想への対処法の1つです。大切が物が無くなって困っているという相手の気持ちを受け止め、一緒に探すことで、興奮が落ち着くことも考えられます。ポイントは、一緒に探して、本人に見つけてもらうことです。介護者だけで探して見つけても「盗まれた」という妄想は消えません。介護者が先に見つけたとしても、本人が見つけられるように誘導するようにしましょう。
4 「Cさんの希望通り,警察に通報してはどうですか」
【×】誤りです。何も盗られていないので、通報ではなく、一緒に探せるような助言が適切です。
5 「Cさんに認知症(dementia)であることを説明してはどうですか」
【×】誤りです。本人を否定し、ますます興奮する可能性があるため、適切ではありません。
#アルツハイマー型認知症 #BPSD #もの盗られ妄想