総合問題2
次の事例を読んで、問題117から問題119までについて答えなさい。
[事例]
Dさん(70歳,男性)は,19歳のときに統合失調症(schizophrenia)を発症し,入退院を繰り返しながら両親と一緒に生活してきた。両親が亡くなったことをきっかけとして不安に襲われ,妄想や幻聴の症状が強く現れるようになった。そのため,兄に付き添われて精神科病院を受診し,医療保護入院となった。
現在は,入院から3年が経過し,陽性症状はほとんどなく,病棟で日中はレクリエーションに参加するなど落ち着いて生活している。
問題118
1年前からDさんの退院について検討が行われてきた。Dさんは退院後の生活に対する不安があり,「帰る家がない」,「顔見知りの患者や職員がいるのでここを離れたくない」と退院には消極的であった。しかし,Dさんと仲のよい患者が,退院し施設入所したことをきっかけに退院を考えるようになった。
Dさんは,整容,入浴,排泄,食事,移動は見守りがあればできる。また,介護福祉職の助言を受ければ,日用品などを買うことはできる。経済状況は,障害基礎年金2 級と生活保護を受給している。要介護認定を受けたところ,要介護1と認定された。
Dさんの退院先の候補になる施設として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 養護老人ホーム
2 老人福祉センター
3 更生施設
4 地域生活定着支援センター
5 介護老人福祉施設
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
解答と解説
問題118
退院先候補の施設を選ぶ問題です。
答えは、「1」です。
選択肢の施設の特徴をしっかり押さえておきましょう。
事例文の中から、施設を選ぶ上で、参考にする情報は次のとおりです。
- 統合失調症
- 70歳、要介護1
- 障害基礎年金2 級と生活保護を受給
- 日常生活は見守りがあればでき、買い物も助言があればできる。
1 養護老人ホーム
【○】正しい選択肢です。養護老人ホームは、老人福祉法に規定された施設です。65歳以上で、環境上、経済的理由により居宅において養護を受けることが難しい人を入所させる施設です。
2 老人福祉センター
【×】誤りです。老人福祉センターは、老人福祉法に規定された施設です。無料または低額な料金で、高齢者に対して相談に応じたり、健康の増進、教養の向上、レクリエーションを行う施設です。
3 更生施設
【×】誤りです。更生施設は、生活保護法に規定された保護施設です。身体上または精神上の理由により、養護及び生活指導を必要とする要保護者を入所させ、自立のための支援を行う施設です。
4 地域生活定着支援センター
【×】誤りです。地域生活定着支援センターは、刑務所などの矯正施設を退所した障害者や高齢者を支援するための施設です。
ちょろた先生
「矯正施設」とは、犯罪や非行をした人たちを収容する施設です。
刑務所、少年刑務所、拘置所、少年院、少年鑑別所、婦人補導院などをまとめて『矯正施設』といいます。
5 介護老人福祉施設
【×】誤りです。介護老人福祉施設とは、介護保険法に規定された施設です。常時介護を必要とするもので、居宅で介護を受けることが難しい人を入所させる施設です。原則要介護3以上の人が対象です。
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