総合問題1
次の事例を読んで、問題114から問題116までについて答えなさい。
[事例]
Cさん(83歳,女性)は,一人暮らしで,近所に買い物に行く以外はテレビを見て過ごしている。近県に息子がいるが,仕事が忙しく,会いに来ることはあまりなかった。
ある日,息子が久しぶりに訪問すると,部屋の中がごみや衣類などで散らかっていた。病院を受診するとCさんはアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)と診断され,要介護1と認定された。
Cさんは,時々,電気湯沸しポットの使い方がわからなくなって湯が出せなかったり,お茶を入れる順番がわからずに混乱する様子が見られた。
心配した息子は,介護保険サービスを利用することにした。後日,介護支援専門員(ケアマネジャー)が訪問し,介護保険サービスの利用についてCさんや息子と話し合った。週2 回,訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用することになり,介護支援専門員(ケアマネジャー)は,「自宅で,衛生的な生活ができる」をケアプランの長期目標とした。
問題115
Cさんは,たびたび息子に電気湯沸しポットが壊れていると訴えるようになった。
Cさんのこのような状態に該当するものとして,適切なものを1つ選びなさい。
1 空間認知障害
2 視覚認知障害
3 遂行機能障害
4 失認
5 観念運動失行
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
解答と解説
問題115
Cさんの症状を表す言葉を選ぶ問題です。
答えは、「3」です。
1 空間認知障害
【×】誤りです。目から入った情報のうち、ものの位置や向きを認識する能力を空間認知といいます。これを正確に把握できなくなる障害です。
2 視覚認知障害
【×】誤りです。視覚認知障害とは、視力に問題がないものの、ものが別のものに見えたり、実際に存在していないものがみえたりする障害です。
3 遂行機能障害
【○】正しい選択肢です。遂行機能障害とは、日常生活において順序立てて、物事を進めることが難しい障害です。
「電気湯沸しポットが壊れている」と訴えていますので、ポットの使い方(例えば、水を入れる→電源を入れる→スイッチを押す)といった流れがわからなくなっているものと考えます。
4 失認
【×】誤りです。失認とは、感覚機能に問題がないものの、視覚や聴覚などから得た情報を正しく認識できないことです。
5 観念運動失行
【×】誤りです。観念運動失行とは、日常であれば普通に行えることが、人から「~してください」と指示をされると頭では理解しているのに実行できないことです。
#アルツハイマー型認知症 #遂行機能障害