医療的ケア
問題59
次の記述のうち,喀痰吸引等を実施する訪問介護事業所として登録するときに,事業所が行うべき事項として,正しいものを1つ選びなさい。
1 登録研修機関になる。
2 医師が設置する安全委員会に参加する。
3 喀痰吸引等計画書の作成を看護師に依頼する。
4 介護支援専門員(ケアマネジャー)の文書による指示を受ける。
5 医療関係者との連携体制を確保する。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題59(解答と解説)
喀痰吸引等の実施手続きに関する問題です。
答えは、「5」です。
喀痰吸引等の業務を行う場合は、事業所ごとに都道府県知事に登録しなければなりません。
喀痰吸引等を実施する登録事業者の登録要件には大きく2つの基準があります。
◎医療関係者との連携に関する基準
- 医師の文書による指示を受けること
- 医師・看護職員が利用者の状況を定期的に確認し、情報共有を図り、連携を確保しながら、適切な役割分担を図ること
- 利用者の個々の状況を踏まえ、医師・看護職員との連携の下に喀痰吸引等の計画書を作成すること
- 実施状況に関する報告書を、医師に提出すること
- 急変時に備え、緊急時の医師・看護職員への連絡方法をあらかじめ定めること
- 業務の手順等を記載した業務方法書を作成すること
◎喀痰吸引等を安全・適正に実施するための基準
- 実地研修を修了した介護福祉士等に行わせること
- 実地研修を修了していない介護福祉士等に対し、医師・看護師を講師とする実地研修を行うこと
- 安全確保のための体制を整備すること(安全委員会の設置、研修体制の整備等)
- 必要な備品を備え、衛生的な管理に努めること
- 実施内容を記載した計画書の内容について、利用者等に同意を得ること
- 情報を適切に管理すること
1 登録研修機関になる。
【×】誤りです。研修機関になるだけでは、実施できません。
2 医師が設置する安全委員会に参加する。
【×】誤りです。安全委員会は事業所が設置します。
3 喀痰吸引等計画書の作成を看護師に依頼する。
【×】誤りです。喀痰吸引等計画書は事業所が行います。
4 介護支援専門員(ケアマネジャー)の文書による指示を受ける。
【×】誤りです。文書による指示は、医師から受けます。
5 医療関係者との連携体制を確保する。
#喀痰吸引等事業者 #登録要件
問題60
次のうち,呼吸器官の部位の説明に関する記述として,正しいものを1つ選びなさい。
1 鼻腔は,上葉・中葉・下葉に分かれている。
2 咽頭は,左右に分岐している。
3 喉頭は,食べ物の通り道である。
4 気管は,空気の通り道である。
5 肺は,腹腔内にある。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題60(解答と解説)
呼吸器官の部位に関する問題です。
答えは、「4」です。
1 鼻腔は,上葉・中葉・下葉に分かれている。
【×】誤りです。鼻腔とは鼻の内部のことです。鼻腔は鼻中隔という壁で左右に分かれています。
上葉・中葉・下葉に分かれているのは、右肺です。
2 咽頭は,左右に分岐している。
【×】誤りです。咽頭は、鼻の奥から食道までの管の部分で、上咽頭、中咽頭、下咽頭の3つに分かれます。空気や食べ物の通り道です。
3 喉頭は,食べ物の通り道である。
【×】誤りです。喉頭は、気管の上部にあり、空気を気管に運ぶための通り道です。
4 気管は,空気の通り道である。
5 肺は,腹腔内にある。
【×】誤りです。肺には、酸素を取り入れ、からだの二酸化炭素を外に出す役割があります。右肺が3つ、左肺は2つに分かれています。また、肺は胸腔内にあります。
問題61
次のうち,痰の吸引の準備に関する記述として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 吸引器は,陰圧になることを確認する。
2 吸引びんは,滅菌したものを用意する。
3 吸引チューブのサイズは,痰の量に応じたものにする。
4 洗浄水は,決められた消毒薬を入れておく。
5 清浄綿は,次亜塩素酸ナトリウムに浸しておく。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題61(解答と解説)
痰の吸引の準備に関する問題です。
答えは、「1」です。
1 吸引器は,陰圧になることを確認する。
【○】正しい選択肢です。陰圧は、周囲の圧力より低い圧力のことです。喀痰吸引の際は、吸引圧が、陰圧になることを確認します。
2 吸引びんは,滅菌したものを用意する。
【×】誤りです。吸引びんは、次亜塩素酸ナトリウム等で消毒したものを用意します。
3 吸引チューブのサイズは,痰の量に応じたものにする。
【×】誤りです。吸引チューブのサイズは、用途や気管の具合などで使い分けます。
4 洗浄水は,決められた消毒薬を入れておく。
【×】誤りです。洗浄水は、水道水や滅菌精製水を入れておきます。
5 清浄綿は,次亜塩素酸ナトリウムに浸しておく。
【×】誤りです。清浄綿は、アルコールに浸しておきます。
問題62
次のうち,経管栄養で起こるトラブルに関する記述として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 チューブの誤挿入は,下痢を起こす可能性がある。
2 注入速度が速いときは,嘔吐を起こす可能性がある。
3 注入物の温度の調整不良は,脱水を起こす可能性がある。
4 注入物の濃度の間違いは,感染を起こす可能性がある。
5 注入中の姿勢の不良は,便秘を起こす可能性がある。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題62(解答と解説)
経管栄養に関する問題です。
答えは、「2」です。
経管栄養など医療行為を行うときは、利用者のそばにいる人として、利用者の命を守るためにトラブルも理解しておきましょう。
1 チューブの誤挿入は,下痢を起こす可能性がある。
【×】誤りです。チューブの誤挿入は、誤嚥を起こす可能性があります。
2 注入速度が速いときは,嘔吐を起こす可能性がある。
3 注入物の温度の調整不良は,脱水を起こす可能性がある。
【×】誤りです。注入物の温度の調整不良は、下痢を起こす可能性があります。
4 注入物の濃度の間違いは,感染を起こす可能性がある。
【×】誤りです。注入物の濃度の間違いは、下痢を起こす可能性があります。
5 注入中の姿勢の不良は,便秘を起こす可能性がある。
【×】誤りです。注入中の姿勢の不良は、誤嚥や逆流を起こす可能性があります。
問題63
Eさん(75歳,女性)は,介護老人福祉施設に入所している。脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症があり,介護福祉士が胃ろうによる経管栄養を行っている。
ある日,半座位で栄養剤の注入を開始し,半分程度を順調に注入したところで,体調に変わりがないかを聞くと,「少しお腹が張ってきたような気がする」とEさんは答えた。意識レベルや顔色に変化はなく,腹痛や嘔気はない。
次のうち,介護福祉士が看護職員に相談する前に行う対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 嘔吐していないので,そのまま様子をみる。
2 仰臥位(背臥位)にする。
3 腹部が圧迫されていないかを確認する。
4 注入速度を速める。
5 栄養剤の注入を終了する。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題63(解答と解説)
経管栄養に関する問題です。
答えは、「3」です。
経管栄養など医療行為を行うときは、利用者のそばにいる人として、利用者の命を守るために利用者の異変やトラブルなどに対応できるようにしておきましょう。
今回の事例で注目するポイントは次の部分です。
Eさんは、「少しお腹が張ってきたような気がする」と言っている。
意識レベルや顔色に変化はなく,腹痛や嘔気はない。
1 嘔吐していないので,そのまま様子をみる。
【×】誤りです。Eさんの発言に対し、そのままでいるのは適切ではありません。Eさんの訴えたお腹の様子などに気をつけるようにします。
2 仰臥位(背臥位)にする。
【×】誤りです。腹痛や嘔気は見られないため、姿勢を変えるのは最も適切な対応ではありません。
3 腹部が圧迫されていないかを確認する。
4 注入速度を速める。
【×】誤りです。注入速度は、医師の指示によるものです。また、速度を速めると嘔吐する可能性があるので危険です。
5 栄養剤の注入を終了する。
【×】誤りです。「意識レベルや顔色に変化はなく,腹痛や嘔気はない」とあることから、すぐに終了する状態ではないため、最も適切な対応ではありません。