介護の基本
問題64
介護を取り巻く状況に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ダブルケアとは,夫婦が助け合って子育てをすることである。
2 要介護・要支援の認定者数は,介護保険制度の導入時から年々減少している。
3 家族介護を支えていた家制度は,地域包括ケアシステムによって廃止された。
4 要介護・要支援の認定者のいる三世代世帯の構成割合は,介護保険制度の導入時から年々増加している。
5 家族が担っていた介護の役割は,家族機能の低下によって社会で代替する必要が生じた。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題64(解答と解説)
介護を取り巻く状況に関する問題です。
答えは、「5」です。
1 ダブルケアとは,夫婦が助け合って子育てをすることである。
【×】誤りです。ダブルケアとは、子育てと親や親族の介護を同時に担う状態のことです。
2 要介護・要支援の認定者数は,介護保険制度の導入時から年々減少している。
【×】誤りです。要介護・要支援の認定者数は、年々増加をしています。
3 家族介護を支えていた家制度は,地域包括ケアシステムによって廃止された。
【×】誤りです。家制度とは、昔の日本にあった家族のあり方を法律で規定した制度です。家族が一つの「家」を単位として、家長(主に父親)が家族をまとめて指揮する制度です。財産や家業は家長が継ぎ、家を存続させることが重視されました。この制度は1947(昭和22)年に廃止されました。
4 要介護・要支援の認定者のいる三世代世帯の構成割合は,介護保険制度の導入時から年々増加している。
【×】誤りです。三世代世帯とは、祖父母、両親、子どもが同じ家に一緒に住む家族構成です。三世代世帯の構成割合は年々減少しています。
5 家族が担っていた介護の役割は,家族機能の低下によって社会で代替する必要が生じた。
【○】正しい選択肢です。親と子どもだけで構成される核家族が増えたことにより、家族機能が低下し、介護の社会化が必要となり、介護保険制度が生まれました。
#家族機能 #核家族 #家族構成
問題65
介護福祉士に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。
1 傷病者に対する療養上の世話又は診療の補助を業とする。
2 喀痰吸引を行うときは市町村の窓口に申請する。
3 業務独占の資格である。
4 資格を更新するために5年ごとに研修を受講する。
5 信用を傷つけるような行為は禁止されている。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題65(解答と解説)
介護福祉士に関する問題です。
答えは、「5」です。
1 傷病者に対する療養上の世話又は診療の補助を業とする。
【×】誤りです。看護師に関する説明です。
2 喀痰吸引を行うときは市町村の窓口に申請する。
【×】誤りです。喀痰吸引を行うには、実地研修を受講し、都道府県から認定証の交付を受ける必要があります。
3 業務独占の資格である。
【×】誤りです。介護福祉士は名称独占の資格です。
4 資格を更新するために5年ごとに研修を受講する。
【×】誤りです。介護支援専門員(ケアマネジャー)に関する説明です。
5 信用を傷つけるような行為は禁止されている。
【○】正しい選択肢です。社会福祉士及び介護福祉士法第45条に規定されています。
問題66
施設利用者の個人情報の保護に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 職員がすべての個人情報を自由に閲覧できるように,パスワードを共有する。
2 個人情報を記載した書類は,そのまま新聞紙と一緒に捨てる。
3 個人情報保護に関する研修会を定期的に開催し,意識の向上を図る。
4 職員への守秘義務の提示は,採用時ではなく退職時に書面で行う。
5 利用者の音声情報は,同意を得ずに使用できる。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題66(解答と解説)
個人情報の取り扱いに関する問題です。
答えは、「3」です。
まず、個人情報とは何かを整理していきましょう。
個人情報とは、生存する個人の情報で、特定の個人を識別できるもの、個人識別符号が含まれているものをいいます。
個人識別符号とは、その情報単体から個人を識別できる符号(文字、番号、記号)などです。(例:運転免許証、マイナンバーなど)
1 職員がすべての個人情報を自由に閲覧できるように,パスワードを共有する。
【×】誤りです。施設では、個人データを取り扱う情報システムに、各職員の業務上必要な範囲にのみアクセスできるようなシステム構成を行わなければならないとされています。誰でもすべての情報を閲覧できるのは適切ではありません。
2 個人情報を記載した書類は,そのまま新聞紙と一緒に捨てる。
【×】誤りです。個人情報を記載した書類は、処分するまで適切に管理をする必要があります。
3 個人情報保護に関する研修会を定期的に開催し,意識の向上を図る。
【○】正しい選択肢です。個人情報保護の意識を徹底するためにも大切なことです。
4 職員への守秘義務の提示は,採用時ではなく退職時に書面で行う。
【×】誤りです。退職時ではなく、採用時です。
5 利用者の音声情報は,同意を得ずに使用できる。
【×】誤りです。利用者の音声情報も、個人情報です。使用する場合は、事前に目的を説明し、同意を得る必要があります。
#個人情報 #個人情報保護
問題67
個別性や多様性を踏まえた介護に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 その人らしさは,障害特性から判断する。
2 生活習慣は,生活してきた環境から理解する。
3 生活歴は,成人期以降の情報から収集する。
4 生活様式は,同居する家族と同一にする。
5 衣服は,施設の方針によって統一する。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題67(解答と解説)
個別性や多様性を踏まえた介護に関する問題です。
答えは、「2」です。
1 その人らしさは,障害特性から判断する。
【×】誤りです。その人らしさとは、その人がこだわっているものやこだわる理由などです。いろいろな視点から相手を理解しようとする考え方です。障害特性ではありません。
2 生活習慣は,生活してきた環境から理解する。
3 生活歴は,成人期以降の情報から収集する。
【×】誤りです。生活歴とは、家族構成や今までかかった病気、どんな仕事をしてきたかなど、その人が生きてきた歴史です。成人期以降に限らず情報収集します。
4 生活様式は,同居する家族と同一にする。
【×】誤りです。生活様式とは、その人が日常生活を送るうえでの行動や習慣、価値観などのスタイルことです。家族と同一にするのは個別性を踏まえた介護とはいえません。
5 衣服は,施設の方針によって統一する。
【×】誤りです。衣服に限らず施設の方針によって利用者の生活を統一することは、個別性を踏まえた介護とはいえません。
問題68
Aさん(48歳,女性,要介護1)は,若年性認知症(dementia with early onset)で,夫,長女(高校1年生)と同居している。Aさんは家族と過ごすことを希望し,小規模多機能型居宅介護で通いを中心に利用を始めた。Aさんのことが心配な長女は,部活動を諦めて学校が終わるとすぐに帰宅していた。
ある日,夫が,「長女が,学校の先生たちにも相談しているが,今の状況をわかってくれる人がいないと涙を流すことがある」と介護福祉職に相談をした。
夫の話を聞いた介護福祉職の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 長女に,掃除や洗濯の方法を教える。
2 家族でもっと頑張るように,夫を励ます。
3 同じような体験をしている人と交流できる場について情報を提供する。
4 介護老人福祉施設への入所の申込みを勧める。
5 介護支援専門員(ケアマネジャー)に介護サービスの変更を提案する。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題68(解答と解説)
介護福祉職の対応に関する問題です。
答えは、「3」です。
若年性認知症は、65歳未満に発症する認知症のことです。
この問題のように、子どもが成人していない場合は、親の病気が与える心理的・経済的な影響が大きく、介護福祉職など周囲の専門家の関わりがとても重要になります。
1 長女に,掃除や洗濯の方法を教える。
【×】誤りです。掃除や洗濯のやり方がわからないとの記述はないため、適切ではありません。
2 家族でもっと頑張るように,夫を励ます。
【×】誤りです。励ますだけでは問題解決にはなりません。
3 同じような体験をしている人と交流できる場について情報を提供する。
【○】正しい選択肢です。長女が「今の状況をわかってくれる人がいない」と相談をしていることから、同じ体験をしている人との交流ができるようにすることは最も適切といえます。
4 介護老人福祉施設への入所の申込みを勧める。
【×】誤りです。Aさん本人が家族と過ごすことを希望しているため、施設への入所を勧めることは適切ではありません。
5 介護支援専門員(ケアマネジャー)に介護サービスの変更を提案する。
【×】誤りです。介護サービスの変更を希望しているわけではないため、適切ではありません。
問題69
Bさん(61歳,男性,要介護3)は,脳梗塞(cerebral infarction)による左片麻痺がある。週2回訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用し,妻(58歳)と二人暮らしである。自宅での入浴が好きで,妻の介助を受けながら,毎日入浴している。サービス提供責任者に,Bさんから,「浴槽から立ち上がるのがつらくなってきた。何かいい方法はないですか」と相談があった。
Bさんへのサービス提供責任者の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 Bさんがひとりで入浴できるように,自立生活援助の利用を勧める。
2 浴室を広くするために,居宅介護住宅改修費を利用した改築を勧める。
3 妻の入浴介助の負担が軽くなるように,行動援護の利用を勧める。
4 入浴補助用具で本人の力を生かせるように,特定福祉用具販売の利用を勧める。
5 Bさんが入浴を継続できるように,通所介護(デイサービス)の利用を勧める。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題69(解答と解説)
サービス提供責任者の対応に関する問題です。
答えは、「4」です。
Bさんの相談内容は次の文です。
「浴槽から立ち上がるのがつらくなってきた。何かいい方法はないですか」
この相談内容への対応を確認していきます。
1 Bさんがひとりで入浴できるように,自立生活援助の利用を勧める。
【×】誤りです。自立生活援助は、病院や施設から退院・退所した障害者に対し、自立した日常生活を送れるように、定期的な巡回訪問や随時訪問などを行うことです。Bさんに必要なサービスではありません。
2 浴室を広くするために,居宅介護住宅改修費を利用した改築を勧める。
【×】誤りです。浴室を広くするだけで、浴槽から立ち上がりの負担を軽くできるものではありません。
3 妻の入浴介助の負担が軽くなるように,行動援護の利用を勧める。
【×】誤りです。行動援護は、知的障害または精神障害により、一人で行動することが難しい人を対象とするサービスです。Bさんは対象外です。
4 入浴補助用具で本人の力を生かせるように,特定福祉用具販売の利用を勧める。
5 Bさんが入浴を継続できるように,通所介護(デイサービス)の利用を勧める。
【×】誤りです。Bさんは「自宅での入浴が好き」との記述があるため、最も適切な選択肢とはいえません。
#脳梗塞 #特定福祉用具販売
問題70
社会奉仕の精神をもって,住民の立場に立って相談に応じ,必要な援助を行い,社会福祉の増進に努める者として,適切なものを1つ選びなさい。
1 民生委員
2 生活相談員
3 訪問介護員(ホームヘルパー)
4 通所介護職員
5 介護支援専門員(ケアマネジャー)
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題70(解答と解説)
介護・福祉に関する専門職・役割に関する問題です。
答えは、「1」です。
1 民生委員
2 生活相談員
【×】誤りです。通所介護事業所や介護老人福祉施設に配属され、高齢者や家族の相談に応じ、援助、援助計画の立案、実施を行います。
3 訪問介護員(ホームヘルパー)
【×】誤りです。訪問介護事業所や居宅介護事業所などに配属され、介護が必要な人の家を訪問し、食事や入浴、掃除など日常生活のサポートを行います。
4 通所介護職員
【×】誤りです。デイサービスで高齢者や障害者の日常生活をサポートする職業です。食事、入浴など生活全般をサポートし、利用者が自宅での生活を続けられるよう支援します。
5 介護支援専門員(ケアマネジャー)
【×】誤りです。介護が必要な人のためにケアプランを作成し、適切なサービスが受けられるよう関係機関との調整をする専門職です。5年で更新となります。
問題71
3階建て介護老人福祉施設がある住宅地に,下記の図記号に関連した警戒レベル3が発令された。介護福祉職がとるべき行動として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 玄関のドアを開けたままにする。
2 消火器で,初期消火する。
3 垂直避難誘導をする。
4 利用者家族に安否情報を連絡する。
5 転倒の危険性があるものを固定する。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題71(解答と解説)
図が表す意味を正しく理解し、介護福祉職がとるべき対応を確認する問題です。
答えは、「3」です。
まず、今回の図が何を表しているのか確認をしましょう。
今回の図は、「洪水・内水氾濫(大雨で川や道路に水があふれ、家や土地が水に浸かること)」を意味します。
警戒レベル3は、高齢者等避難レベルです。
洪水・内水氾濫が起こるかもしれないときに、介護福祉職としてどのように避難をするか考えていきます。
1 玄関のドアを開けたままにする。
【×】誤りです。水が入ってきてしまうため、適切ではありません。
2 消火器で,初期消火する。
【×】誤りです。問題の図は火災を表すものではないため、適切ではありません。
3 垂直避難誘導をする。
【○】正しい選択肢です。垂直避難とは、洪水などのときに高い場所(縦方向)に移動する避難方法です。3階建ての施設がある住宅地なので、施設の上の階または屋上に上がるよう誘導します。
4 利用者家族に安否情報を連絡する。
【×】誤りです。安否情報の連絡も大切ですが、最も優先することではありません。
5 転倒の危険性があるものを固定する。
【×】誤りです。警戒レベル3が発令された状況において、最も優先することではありません。
問題72
次の記述のうち,介護における感染症対策として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 手洗いは,液体石鹸よりも固形石鹸を使用する。
2 配膳時にくしゃみが出たときは,口元をおさえた手でそのまま行う。
3 嘔吐物の処理は,素手で行う。
4 排泄の介護は,利用者ごとに手袋を交換する。
5 うがい用のコップは,共用にする。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題72(解答と解説)
感染症対策に確認する問題です。
答えは、「4」です。
基本的な知識を確認する内容ですので、普段行っている仕事の手順を確認しながら選択肢を選びましょう。
1 手洗いは,液体石鹸よりも固形石鹸を使用する。
【×】誤りです。固形石鹸は、前の使用者のウイルスが付いている可能性があるため、感染症対策としては液体石鹸のほうが適しています。
2 配膳時にくしゃみが出たときは,口元をおさえた手でそのまま行う。
【×】誤りです。くしゃみをおさえた手には、ウイルスなどが付いています。そのままの手で行うのは適切ではありません。
3 嘔吐物の処理は,素手で行う。
【×】誤りです。素手とは、手に何もつけていないことです。素手では、ウイルスに直接触れることになるので、適切ではありません。
4 排泄の介護は,利用者ごとに手袋を交換する。
5 うがい用のコップは,共用にする。
【×】誤りです。コップの共有は、ウイルスも共有することにつながるため適切ではありません。
問題73
介護福祉士が行う服薬の介護に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 服薬時間は,食後に統一する。
2 服用できずに残った薬は,介護福祉士の判断で処分する。
3 多種類の薬を処方された場合は,介護福祉士が一包化する。
4 内服薬の用量は,利用者のその日の体調で決める。
5 副作用の知識をもって,服薬の介護を行う。
解答(かいとう)と解説(かいせつ)を確認(かくにん)する
問題73(解答と解説)
服薬の介護に確認する問題です。
答えは、「5」です。
1 服薬時間は,食後に統一する。
【×】誤りです。服薬時間は、医師の指示に従わなければなりません。
2 服用できずに残った薬は,介護福祉士の判断で処分する。
【×】誤りです。残った薬は、介護福祉士が判断し処分をするのではなく、医師や薬剤師に報告・相談をします。
3 多種類の薬を処方された場合は,介護福祉士が一包化する。
【×】誤りです。一包化とは、処方された複数の薬を1回の服用分ずつ1袋にまとめることです。一包化の行為は、介護福祉士はできません。
4 内服薬の用量は,利用者のその日の体調で決める。
【×】誤りです。内服薬の用量は、医師の指示に従わなければなりません。
5 副作用の知識をもって,服薬の介護を行う。